au・softbank・docomoの迷惑メール対策からわかるメール到達率UPの方法
はじめに
迷惑メールへ対抗するために、これまでISPや携帯キャリアはさまざまな対策を実施し、その結果私たちが迷惑メールを受信する機会は大幅に減少しました。
総務省が電気通信事業者10社に対して行った調査データ(2020年3月時点)によれば、迷惑メールの受信件数は2009年ごろからその数を徐々に減らし、2018年には2009年の半数ほどにまで減らすことに成功したことがわかります。しかし迷惑メールは日々巧妙化しており、2018年の半ばごろからは再び迷惑メールの数が増えつつあるため、今後さらに迷惑メールへの対策が強められる可能性は高いといえるでしょう。
引用:電気通信事業者10社の全受信メール数と迷惑メール数の割合 2020年3月末時点(グラフ)
一方、迷惑メールの排除に成功する裏側では、ECサイトの注文確認メールなどの本来届くべき正当なメールが迷惑メールとして誤検知されてしまい、相手に届かないということが頻繁に発生しています。今後、ISPと携帯キャリアが迷惑メールの取り締まりをより強化することになれば、今は問題なく届いているメールでも届かなくなってしまう可能性が高くなります。そのため、各企業は自分たちが送るメールが迷惑メールとして誤検知されないように、正しいメールの配信方法を学ぶ必要があります。
本記事はau・Softbank・docomoの大手携帯キャリア3社が実施している迷惑メール対策を調査し、まとめたものになります。政府による調査結果も併せて紹介していますので、ぜひご一読ください。
総務省調査からわかる業界で特に採用されている迷惑メール対策
まずは、総務省が主要通信事業者に対して行っている調査データを紹介します。
次で紹介する図2点では具体的な社名は公開されていませんが、各社がどういった迷惑メール対策を取っているのか一目で確認できます。
引用:平成31年版迷惑メール対策技術の開発及び導入状況についての公表(概要)
移動系電気通信事業者(携帯キャリア)の主な迷惑メール送信対策状況
上記表を見てわかる通り、どの携帯キャリアも採用している迷惑メール対策にはほとんど差異はありません。異なるとすれば、送信通数の上限数値や、迷惑メールとして判断する基準、ユーザが利用できる個別設定の内容などです。例えば、携帯キャリアが複数あるブラックリストから参照するリストを決めていること、拒否キーワードをそれぞれ独自に選定していることなどから、迷惑メールの判断基準に差が出ると考えられます。また、各事業者ともユーザからの迷惑メール報告の内容も判定基準として取り入れているため、事業者によって迷惑メールの通過結果に差異が生じます。
固定系電気通信事業者(ブロードバンド/音声通信など)の主な迷惑メール送信対策状況
こちらは本記事の趣意からすれば参考程度の情報ではありますが、多少の差異はあるものの、各事業者とも主要な迷惑メール対策を取り入れていることがわかります。迷惑メールの通過率は各対策の設定強度によりますが、メールを送信する側は、この中でもとくに採用率の高いSPFへの対応や、ブラックワード(※)・迷惑メールフィルタに引っかからないようなメール内容に注意すべきであることがわかります。
※ブラックワード: 迷惑メールを自動的に除外するための手がかりとして設定されるキーワード。NGワードと呼ばれることもある。例としては、通常のメールでは含まれないような、暴力・アダルト・詐欺などに関連すると思われる用語。
各企業のSPF・DKIM・DMARCへの対応状況について
迷惑メール対策として重視されている送信ドメイン認証ですが、2021年時点では主に「SPF」「DKIM」「DMARC」の3つが使用されています。
各企業がこれらにどの程度対応しているのかを指し示すのが次の図です。
SPFに関しては、政府関連のドメインでの設定率は高いものの、一般企業や団体のドメインではまだ70%未満という状況です。しかし、月を追うごとに徐々に対応率が増加していることがわかります。
引用:
特定電子メール等による電子メールの送受信上の支障の防止に資する技術の研究開発及び電子メール通信役務を提供する電気通信事業者によるその導入の状況
総務省が発行している「迷惑メール対策ハンドブック2016」によれば、DKIMの普及率は45.79%とされています。また、2020年3月時点で電気通信事業者4社の送信ドメイン認証結果(DKIM)を見ると、普及率は約61.7%と推測できます。(これは「署名なし」を全体から差し引いた数値です。)こうした情報を総合すると、DKIMの普及率は50%~60%台と推測でき、少しずつ導入の割合も伸びていることがわかります。
SPFとDKIMの導入が前提となるDMARC普及率は未だ10%未満と少ないものの、こちらもまた徐々に対応するドメインが増加しているようです。
これらの状況から、各企業が迷惑メールと誤解されないようにするためには、基本的なことながら下記が重要であることがわかります。
︎SPF・DKIM・DMARCの設定を行うこと
︎迷惑メールと誤解されるような内容にせず、ブラックワードを使わないこと
※それぞれの対策の概要や方法については、以下の記事をご参照ください。
ドメイン認証技術「SPF」「DKIM」の特徴・メリット・デメリットとは
IPレピュテーションのスコアを見直せばメール到達率UP!理解しておきたいIPレピュテーション
主要携帯キャリアの迷惑メール対策は?
では、au・Softbank・docomoのキャリアメールを利用するユーザに対してメールを送る際、具体的にはどのような点に気を付けなければいけないのでしょうか。
各社がユーザに提供している迷惑メールの拒否設定を調べてみると、気を付けるべきポイントとして、以下の項目が共通していました。
︎ユーザに通報されるようなメールを送信しない
︎メールの送信先リストを最新の状態に保つ(宛先不明のアドレスを含めない)
︎ブラックリストに登録されないようにする(迷惑メール対策規範に抵触しない)
︎特定電子メールの送信の適正化などに関する法律、特定商取引に関する法律を遵守する
︎一度に大量のメールを送信しない(とくに新しいドメインやIPアドレスから送信する場合)
共通ポイントとしては上記があげられますが、細かな部分ではキャリアごとに取り入れている迷惑メール対策に違いがあります。特定のキャリアに対してのみメールが届きづらいといった課題がある場合、詳細は以下の記事をご参照ください。
最後に
各キャリアが施している迷惑メール対策について知ることで、正常なメールが誤検知されることに対しある程度の改善は可能ですが、それでもまだ必ず相手にメールが届くという保証はありません。迷惑メールと判定される要因はさまざまで、原因が一つだけとは限らないため、メール到達率をアップさせるには多角的な視点からメールの問題点を探り、ひとつひとつ、確実に対処していく必要があります。
当社は、ホスティング事業者としての長年の経験と豊富な知識を生かしたメールリレーサービス「ベアメール」を提供しています。「ベアメール」を通じ、迷惑メール対策の技術進化や携帯キャリアによる独自の迷惑メール判定基準に対応し続けることで、メールを確実に届けるための技術とノウハウを培ってきました。そして、実際にベアメールをご利用中の多くのお客さまがメール到達率の向上に成功しています。
当社ではこのベアメールで得た知見をもとに、新サービス「迷惑メールスコアリング」の提供を開始しました。
本サービスでは、送信ドメイン認証の正常性確認はもちろん、迷惑メール対策で参照されているブラックリストへの登録状況や、メールの本文・ヘッダの解析結果、主要キャリアへの配信状況などの情報をもとに、なぜそのメールが届かないのか、その原因を可視化することができます。さらに、改善アドバイス機能を利用すれば、あぶり出された問題点に対して具体的にどのようにすれば解決できるかの対応策を確認することができます。
ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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