【営業課題別】課題解決に必要な営業ツールとは?メリットと導入時のポイントも
この記事では営業課題別にお薦めの営業ツールを紹介しています。
BtoB企業でもBtoC企業でも、営業といえば顧客との関係性が最も重要とされる、アナログ要素の強い役割だと考えられてきました。しかし、昨今のデジタル技術の発展や、感染症流行に伴う生活様式の変化などによって営業にもデジタル化の流れが到来しています。
そこで、本記事では営業課題別にお薦めの営業ツールをご紹介します。営業活動に悩んでいる方、デジタル化を推進したい方はぜひご一読ください。
なぜ営業にツールが必要なのか
まず、なぜ営業活動にもツールが必要だと考えられるようになってきたのでしょうか。
営業活動の効率化の必要性
顧客が得る情報量・選択肢が増加した昨今では、これまで以上に一つひとつの案件に対して丁寧に対応することが営業には求められています。ソリューションも複雑化しており、質の高い営業活動を行うためには、十分な準備や学習のための時間が必要です。
営業活動における手間が増えたことで一人の営業担当が対応できる案件数が減ったとしても、営業担当者の数をすぐに増やすことは難しいでしょう。限られた人数や時間で結果を出すためには、営業一人あたりの生産性を高める必要があります。しかし現実には、多くの営業担当者は事務作業などに追われ、実際に顧客とのやりとりをする営業活動には、業務時間の34%しか使えていないという調査結果があります。
引用:salesfoce「第3回年次レポート セールス最新事情 全世界2,900人以上を対象にしたセールスの動向に関する調査結果」P.9顧客の高まる期待に対応しきれていない営業チーム
https://www.salesforce.com/content/dam/web/ja_jp/www/documents/reports/sales/state-of-sales-3rd-ed.pdf
個々の営業担当者に「効率化」の努力をさせるのは現実的ではなく、効率的に営業活動を行うための組織的な仕組みを考えていく必要があります。
テレワーク、リモート営業の増加
HubSpot Japan株式会社が行った「日本の営業に関する意識・実態調査(2020年)」によれば、テレワーク導入率は42.4%、うち、直近1年以内に導入した企業が28.2%です。テレワークを週1回以上行っている法人営業担当者は全体の69.8%でした。
同調査において、ニューノーマル時代の営業について売り手の実態や意識変化として、以下のような調査結果が得られています。
・経営層で、インサイドセールス(Eメール・電話・DM・ビデオ会議などを用いた非訪問型の営業手法)の重要度は以前よりも上がっていると回答したのは27.8%
・「訪問型営業の方が、非訪問型営業より好ましい」と考える割合は2019年の63.5%から、2020年の48.2%まで減少
・一方で、「非訪問型営業のほうが好ましい」と考える割合は2019年の10.7%から21.8%と、2倍に増加
また、同調査によれば、買い手側の意識変化として「非訪問型営業が好ましい」と考える人は38.5%。「訪問型営業が好ましい」と考える人の35.0%を上回り、前年の21.0%から大きく変化しました。2019年までは訪問型を好む割合の方が高い状態でしたが、2020年の調査では逆転し、非訪問型を好む割合が高くなっています。
とはいえ、買い手側の意識の変化スピードに比べると、まだまだ訪問型営業が好ましいと考える営業担当は多く、売り手側の意識の変化は遅いといわざるを得ません。
営業組織が抱えている課題
同調査では、営業組織が抱える課題も明らかになりました。
営業担当者自身、日々営業担当者として働く時間の20.2%が無駄だと考えています。営業の業務の中で無駄だと感じるものについて複数選択で質問したところ、1位と2位が情報共有に関するもの、3位と4位は訪問の移動時間に関するものでした。
1.社内会議…33.9%
2.社内報告業務…32.4%
3.キーパーソンとの面会ができず、再訪問となった…26.6%
4.日々の商談の移動時間…24.0%
これらの課題は、営業ツールの利用で効率化することができます。例えば、社内会議や報告業務はチャットツールやSFAへ変更、商談はWeb会議ツールを用いたオンライン商談に変更することで今まで費やしてきた時間を削減し、業務を効率化することができます。
営業ツールを導入するメリットや取り入れる際のポイントについて、次章から見ていきましょう。
営業ツールを導入するメリット
営業ツールを導入することで、以下のようなメリットが考えられます。
情報管理、共有
情報の一元管理、共有をスムーズに行えるようになります。
顧客の過去の注文実績や購買前の行動などを記録し管理できれば、購入意思の高い顧客、低い顧客で分類・グループ化することも可能です。分類・グループ化できれば、フェーズごとに効率的なアプローチができるようになるでしょう。
例えばMAなどでリード情報を一元管理できれば、検討フェーズやセグメントに応じて適切なタイミングでお知らせやキャンペーン情報を送信するなど、効果的なアプローチを効率的に行うことができます。
生産性の向上
例えばオンライン商談を活用することで移動にかかる時間を削減すれば、その分多くの商談や顧客フォローを行えるようになります。移動時間の削減だけでなく、ツールを活用することによって情報共有や資料作成などの作業を効率化できれば、その分営業活動に費やす時間を確保できるでしょう。業務を効率化することで時間に余裕ができれば、営業の質向上にもつながります。
また、ツールの活用を社内全体で取り組むことで、営業とマーケティングや、営業とカスタマーサポートなど部門を越えた情報共有がスムーズになり、より効率的な顧客対応が可能になります。
多様な働き方への対応
「働き方改革」の推進により、企業には従業員の満足度向上を実現する環境づくりが求められているため、残業の削減が課題となっています。そのため、決められた労働時間内の効率を上げる工夫が必要です。営業ツールの導入で生産性が向上すれば、長時間労働をせずとも業務時間内で成果を出せるようになるでしょう。
属人化を防ぎチーム全体のスキルアップに役立つ
営業担当者のスキルによって売り上げに差が出ることは、やむ無しとされがちでしたが、そもそも業務の属人化は好ましくありません。営業担当者によらず、全体的に高い水準を保つのが理想でしょう。個々の営業活動を客観的に記録・分析し、効果的な営業活動について知ることで、チーム全体のスキルアップにつながります。
また急な休みや退職者がでた場合に引き継ぎが不十分だと、顧客に不信感を与えてしまったり、関係性を損なうようなミスに繋がりかねません。そこでツールを使って日々の営業活動を記録・管理すれば、顧客とのやりとりも確認ができ、万が一引き継ぎに不足があった場合でも記録を遡って確認することができるので、顧客からの信頼を失うような事態を避けられるでしょう。
営業ツールの種類
一口に営業ツールといっても、営業活動のすべてをひとつのツールで賄えるわけではありません。そこで、営業課題ごとに分けて役に立つツールをご紹介します。
①見込み顧客の獲得が難しい
見込み顧客の獲得が難しいという場合は、以下のようなツールがおすすめです。
・MA(マーケティングオートメーション)
・ABM(アカウントベースドマーケティング)ツール
・ウェビナー開催ツール
・フォーム営業自動化ツール
など
MA(マーケティングオートメーション)とは、WEB広告・ランディングページ・ホワイトペーパーなどを活用して、新規リードの獲得支援〜リード情報の一元管理〜リードの育成などが可能なツールです。
すぐに商談に結びつかなかった顧客に対してもフォローアップメールなどを送信して継続的にアプローチを行い、商談に結びつけていく(育成)ことが重要です。この過程は「リードナーチャリング」と呼ばれます。
ABMツールは、顧客となる見込みが高いターゲット企業をリストアップするのに有効です。既存顧客の傾向を分析して類似度の高い企業を探したり、業種・所在地・規模・求人状況・導入サービスなどさまざまな情報をもとにターゲット企業を絞り込むことが可能です。
オフラインのセミナーや展示会に代わる新規リードの獲得手法として、ウェビナーを開催する企業が増えています。オフラインのセミナーに比べ参加のハードルが低いため、ターゲットの興味をそそる内容のウェビナーを実施すれば、新規見込み顧客獲得につながりやすいでしょう。
その他にも、在宅勤務も増え、通じにくくなったテレアポの代替手段として企業ホームページの問い合わせフォームから連絡するという方法があります。企業ごとにフォームの仕様が異なるためメールより手間がかかりますが、リストアップした企業に対してフォーム問い合わせを自動化するツールを活用すれば効率的にアプローチが可能です。
②商談が減少した
・オンライン商談ツール
・日程調整ツール
・MA
・ウェビナー開催ツール
など
リードは獲得できているが商談になかなか至らない、商談機会が減ってしまったという場合は、オンライン商談ツールや日程調整ツールなどを活用し、商談のハードルを下げることでスムーズな商談機会創出をはかりましょう。
前述のMAを用いたリードナーチャリングの取り組みも効果的です。定期的にメルマガを送付し、反応のあった顧客にアプローチしたり、資料やウェビナーなどに案内したりすることで、顧客の興味関心と導入意欲を高めていくことが重要です。
③営業活動の見える化や情報管理ができていない
営業活動を効率化するには、営業活動を記録・分析し、ノウハウを社内でナレッジとして蓄積していくことも重要です。
顧客情報の管理が煩雑になっていたり、営業とマーケティングなど社内でうまく共有できていない場合は、一元管理のためのツールが有効でしょう。案件進捗が遅く、回転率が低いなら、マネージャーが個々の営業担当者の活動状況を把握し、随時指示やアドバイスをできるツールが効果的かもしれません。
・グループウェア
・SFA/CRM
・チャットツール
など
SFAとは「Sales Force Automation」の略称で、日本語では「営業支援システム」と言われています。SFAを導入すると、営業活動の管理・分析、社内への報告業務の効率化が期待できます。具体的には、獲得した見込み顧客の情報を一元管理し、営業担当のアプローチ状況や商談の記録、案件のフェーズ管理、売上予測など、営業活動の記録と見える化が可能です。その他に営業個人のスケジュールやタスク管理、営業プロセスの管理といった業務管理も行えるため、営業活動の属人化を防ぎ効率化も実現できるでしょう。
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。文字通り顧客の基本情報だけでなく、顧客との関係性を管理することができます。新規顧客だけでなく、既存顧客と関係を築いて自社や商品・サービスのファンになってもらうことで、継続的な売上を得るために有用です。
④サービスの解約が続いてしまっている
契約できたものの、顧客の課題解決に向けての支援ができていない、いつ、どういったタイミングで支援すればいいのかわからないという場合は、CS(カスタマーサクセス)ツールを導入しましょう。特に、サブスクリプション型サービスのベンダーにとって効果的です。
受動的なサポートであるカスタマーサポートとは異なり、カスタマーサクセスとは能動的に顧客の成功体験を作り出すための取り組みです。具体的には、サービスの導入・定着、活用方法の提案、運用における課題解決などが当てはまります。これにより顧客との信頼関係を構築でき、サービス利用の継続だけではなく、アップセルやクロスセルといった更なる売上へつなげることが可能になります。
カスタマーサクセスツールとは、カスタマーサクセス活動を支援するためのツールです。顧客体験を向上させるためのツールや、導入〜運用の定着のためのオンボーディングに活用できるツールや、顧客の満足度を計測したり解約可能性を予測するツールなど、カスタマーサクセスのさまざまな側面をサポートするものがあります。
取り入れる際のポイント
最後に、営業ツールを取り入れる際のポイントを3つ解説します。
自社の課題・営業手法・組織にあったものを選ぶ
前述のように、営業課題によって取り入れるべきツールが異なります。自社の営業手法や組織体系などによっても使いやすいツールは異なるので、営業ツールを取り入れる際にはこれらの点をよく考慮しましょう。
導入前に活用フローを設計する
現場の意見を第一に、営業担当者がどのようにツールを活用していくのか、まず活用フローを設計しましょう。顧客がどのように購買行動を行うか(カスタマージャーニー)、それに対して営業がどのようにツールを運用していくか、実際の顧客接点から考えます。
カスタマージャーニーに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
カスタマージャーニーとは?ジャーニーマップの重要性と作成するメリット - tele-meeting note |
関係部署との役割分担、意思の統一をする
ツール導入の際には営業部門だけでなく、マーケティング・経営企画・情報システムなど複数の部署が関係することもあります。
社内全体としてそれぞれの役割や導入の目的、運用のステップ、各立場からの懸念点などをクリアできていないと、導入後にトラブルが発生する恐れがあります。導入前には各部署の役割を相互に確認し、認識を統一しておきましょう。
まとめ
営業活動の効率化やテレワークの推進、インサイドセールスの需要などから、営業活動にもツールを活用するというデジタル化の流れが訪れています。営業活動のメインである顧客とのコミュニケーションなどをより充実させ、質の良いものにするために、ツールを用いてほかの事務作業などを効率化してみてはいかがでしょうか。
営業ツールはさまざまな種類があるので、営業課題別に考え、自社の営業手法や組織に合ったものを選びましょう。導入前には活用フローを設計するとともに、関係部署での意識の擦り合わせをして、より良い営業活動を目指しましょう。