WordPressだけではない 主要CMSの機能とメリット・デメリット
企業の自社メディア構築・運用において、CMSの利用率が高まっています。CMSは、比較的容易にサイト構築・カスタマイズ・SEO対策が可能であることがメリットです。2019年時点で最も有名なCMSといえば、「WordPress」でしょう。
また、WordPress以外にも複数のソリューションが登場しており、それぞれに特徴・メリット・デメリットがあります。さらに、ビジネスユースでは、高速かつ安定した実行環境の選定も欠かせません。ここでは、最新のシェアを元に主要CMSを紹介しながら、実行環境の重要性も解説していきます。
1.WordPressと主要CMSの機能・メリット・デメリット
CMSの使用割合は年々増加している中で、未だ「WordPress」が圧倒的なシェアを誇ります。W3TECH社の調査による2019年6月時点の世界シェアは、以下のような状況です。(シェア1%以上のみ掲載)
・CMSを利用していない…43.8%
・WordPress…34.3%
・Joomla…2.8%
・Drupal…1.8%
・Shopify…1.6%
・Squarespace…1.6%
・Wix…1.1%
以上のデータからCMSを利用している人のうち、7割以上はWordPressを使用していることになります。では、ここで紹介した主要CMSについて、特徴やメリット・デメリットを整理していきます。
WordPress
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特徴
前述のとおり世界シェアナンバー1のCMSです。また、OSSであることから、世界中でプラグインが開発・リリースされています。プラグインの豊富さでは他の追随を許さないCMSです。
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メリット
・一般的なWebサイト制作に必要な「HTML」「CSS」などのスキルが無くとも、サイト構築が可能
・直感的に操作できるUIを備え、操作方法習得までの時間が短い
・プラグインやテーマ(テンプレート)が豊富でカスタマイズ性が高い
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デメリット
・バージョンによって対応プラグインが異なり、プラグインの衝突が不具合を引き起こす可能性がある
・圧倒的なシェアの高さから、サイバー攻撃(脆弱性攻撃)の標的になりやすく、セキュリティ対策が必須である
・動的表示ゆえに動作が重くなりやすい
Joomla
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特徴
WordPress同様にOSS型のCMSですが、デザイン性が優れています。WordPressよりもやや技術的な知識は必要ですが、初心者レベルのWeb開発経験があれば対応可能です。また、ECサイトへのサポートが充実しているという点も見逃せません。
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メリット
・一般的なWebサイト制作に必要な「HTML」「CSS」などのスキルが無くとも、サイト構築が可能
・初期状態(プラグイン利用無し)でのカスタマイズ性が高い
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デメリット
・WordPressよりもやや操作性が悪く、管理画面を使いこなすまでに時間がかかる
Drupal
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特徴
会員制サイト構築などに適した権限管理・変更が容易にできるCMSです。SEO対策に強く、会員制の商用サイト構築などに適しています。
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メリット
・WordPressに比べるとページの読み込み(表示)が軽い傾向にある
・サイトを構築した段階でSEO対策を意識した構造になる
・ユーザの権限管理が容易
・拡張モジュールの追加で機能拡張が可能
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デメリット
・拡張モジュールが一部有料である
・日本国内における情報が少なく、不具合に対応しにくい
・使いこなすまでには慣れとWebサイト構築の専門知識が必要
Shopify
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特徴
カナダ発のCMSで、2017年に日本へのリリースが始まりました。CMSというよりも「ECサイト構築システム」としての知名度が高のではないでしょうか。ECサイト構築に特化した機能が豊富で、ユーザの購買意欲を高めるような工夫が施されています。特に、アクセサリー、アパレル、インテリアなど視覚的なアプローチが求められるECサイトの構築に適しているでしょう。
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メリット
・初期状態でSNSとの連携機能が搭載さている
・商品登録やユーザ管理といったECサイト構築に必要な作業を効率化できる
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デメリット
・無料プランがない(14日間の無料トライアルのみ)
・日本語対応のサポートがほぼ存在しない
Squarespace
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特徴
非OSS型のCMSで、デザイン性と操作性に優れたCMSです。WordPressの直感性をさらに高めたようなUIで、簡単なWebサイトであれば画像選択とドロップ&ドラックで完成してしまうほどです。
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メリット
・直感的なUIで操作性が高い
・プラグインも含めて全て同一の企業が制作しているため、機能拡張による不具合が少ない
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デメリット
・管理画面が日本語対応していない
・有料契約が必要である
・プラグインやテンプレートの種類が少ない
Wix
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特徴
Squarespaceと同じく、非OSS型かつ、直感的に操作できるクラウド型CMSサービスです。2012年12月に日本語版がリリースされたことから、国内でも徐々にユーザが増えています。
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メリット
・直感的なUIで操作性が高い
・編集画面から簡単に機能を追加できる
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デメリット
・読み込み(表示)速度がやや遅い
・スマートフォン向けサイト構築の機能が弱い
・ビジネスユースでは有料プランの契約がほぼ必須となる
これら6つのCMSを簡単な比較表でまとめると、以下のようになります。CMS選定の参考にしてみてください。
カッコ内はシェア | 導入コスト | 拡張性 | 管理画面の操作性 | 読み込み速度 |
WordPress(34.3%) | ◎ | ◎ | ○ | △ |
Joomla(2.8%) | ◎ | ○ | △ | ○ |
Drupal(1.8%) | ○ | ○ | △ | ○ |
Shopify(1.6%) | △ | △ | ○ | ○ |
Squarespace(1.6%) | △ | △ | ◎ | ○ |
Wix(1.1%) | ○ | △ | ◎ | △ |
2.WordPress運用で発生しがちな課題と対策
世界シェアやプラグインやテーマの数、カスタマイズの柔軟性、コミュニティの充実などを考慮すると、WordPressが頭一つ抜き出ている状況と言えます。ただし、WordPressにも課題が無いわけではありません。特に動作(読み込み、表示速度)においては次のような課題が発生します。
・PHP+MySQLの組み合わせによる動的表示に対応しており、毎回データベースへのアクセス+ページ表示が発生し、動作が重くなることがある。
・データベースアクセスの頻度が高いため、短時間の同時大量アクセス(スパイクアクセス)に弱く、PVが多い時間帯に表示されないリスクがある。
これらは「PV獲得機会の逸失」「UXの低下」「SEO検索順位の低下」といったデメリットに発展しかねません。そこで、次のような対策(高速化設定、チューニング作業)が必要だと考えられます。
・APC(PHP Accelerator)の導入と設定
・MySQLクエリキャッシュの導入
・WordPressの翻訳キャッシュ導入
・ページ圧縮(gzip圧縮)の活用
・Webサーバ/PHPの処理系のアップデート
ただし、すべてを手動で設定すると、管理コストが著しく増大してしまいます。したがって、WordPressによるサイト構築では、高速表示かつ効率的な運用が可能な環境構築が必須になるわけです。
3.WordPress運用のリスクとコストを低減する「KUSANAGI」
このような課題に対するソリューションとして、プライム・ストラテジー株式会社が開発した「KUSANAGI」があります。KUSANAGIは、WordPressサイト構築に必要なミドルウェア(Apache HTTP Server・nginx・PHP・MySQL・MariaDB)をパッケージ化し、高速化設定・チューニング作業の手間を削減できる「WordPress実行環境(仮想マシン)」です。
実行時間3ミリ秒台、秒間1000リクエストをページキャッシュ非使用で処理可能という強みを有し、WordPress実行環境としては世界最高速クラスです。KUSANAGIの導入で、WordPress構築・運用の弱点を、一括で補強できるでしょう。
また、KUSANAGIがインストールされた「ベアメタルクラウド」の活用もおすすめです。十分なリソース(物理サーバ)を確保しつつ、高速化されたWordPressがすぐに利用できます。リンクベアメタルクラウド上にWordPress・KUSANAGIがインストールされた「Webサイト運用者向けパッケージ」とKUSANAGIのみをインストールして、個々のミドルウェアに対して柔軟にチューニングができる「Webサイト開発者向けパッケージ」という2種類のサービスで提供しています。特にWebサイト運用者向けパッケージでは、WordPressのインストール・ミドルウェアの設定はもちろんのこと、高速化チューニングが完了した状態でサイト構築が開始できるという強みを持っています。
4.まとめ
本稿では、世界シェアを元に主要CMSの特徴やメリット、デメリットを紹介するとともに、WordPressサイト構築の課題を解説しました。WordPressを始めとしたCMSは、企業サイトやサービス紹介コンテンツを手軽に作成できるというメリットがあります。ただし、動的表示ゆえの重さや管理コストの高さなどから、リスク・デメリットが発生することも忘れてはいけません。WordPressのビジネスユースにおいては、WordPressを高速化するKUSANAGI+安定した性能を持つベアメタルクラウドの組み合わせも選択肢の一つになるでしょう。