ベアメタルとは?-「ベアメタルサーバ」と「ベアメタルクラウド」のそれぞれの意味と違いとは
ベアメタルとは?
昨今クラウド関連のサービスのWebサイトなどにおいて、よく見かけるのが「ベアメタル(bare metal)」という言葉です。ただベンダーや文脈によってこの用語の意味するところは微妙に異なり、混乱することも少なくありません。
そもそもベアメタルという言葉を英和辞典で調べると、「むき出しの金属」や「金属の露出した面」などといった意味が書かれています。これが転じて、IT業界では「ソフトウェアがインストールされていない、まっさらな状態のサーバやHDD」のことをベアメタルと呼ぶようになりました。たとえばサーバの場合、OSなどがインストールされていなくて利用できる状態に至っていない、素の状態の物理サーバだと捉えられます。
ややこしいのは、サーバ仮想化を実現するハイパーバイザの種類の1つとしてもベアメタルという用語が使われる点です。サーバを仮想化するための技術はいくつもありますが、代表的なものとして「ホスト型」と「ハイパーバイザ型」が挙げられます。ホスト型はOS上で実行されるハイパーバイザであり、プロダクトとしてはVMwareの「VMware Workstation」やオラクルの「VirtualBox」などが挙げられます。一方、ハイパーバイザ型はベアメタル上で直接実行されるハイパーバイザで、VMwareの「VMware vSphere」やマイクロソフトの「Hyper-V」などのプロダクトがあります。
ベアメタル“クラウド”とベアメタル“サーバ”の違い
最近ではベアメタルクラウドという用語も生まれています。こちらはクラウド上で物理サーバを提供するサービスであり、仮想サーバを提供する一般的なクラウドサービスと区別するためにベアメタルクラウドと呼ばれています。ただ、ベアメタルと呼称されているクラウドサービスであっても、サービス内容が同じだとは限らない点に注意が必要です。ポイントとなるのはオンデマンドで物理サーバが提供されるか否かで、仮想サーバと同様に申し込みから短時間で利用できるサービスがある一方、利用できる状態になるまで数日間待たされるものもあります。本稿では、前者をベアメタルクラウド、後者をベアメタルサーバと呼び分けます。
ベアメタルクラウドはあらかじめ物理サーバが用意されており、申し込みがあると自動的にユーザに割り当てることでオンデマンドでのサービス提供を実現しています。一方ベアメタルサーバは申し込み後にセットアップを行うため、ユーザはすぐに使い始めることができません。また料金体系が異なるケースも多く、時間~日単位で課金が行われるベアメタルクラウドに対し、ベアメタルサーバは1カ月、あるいはそれ以上の利用を前提とした料金体系となっていることが一般的です。
コントロールパネルの機能もベアメタルクラウドとベアメタルサーバでは異なっていることが多いようです。ベアメタルクラウドに分類できるサービスの多くは、ユーザが物理サーバを制御するためのコントロールパネルがあり、たとえば電源のオン/オフやストレージに保存されているデータのバックアップなどが行えます。一方、ベアメタルサーバのコントロールパネルでは物理サーバをコントロールするインターフェイスがないことが多く、操作内容によってはベンダーに作業を依頼しなければなりません。
物理サーバをクラウド上で提供する形態が広まったことから、現在インターネット上ではベアメタルの用語を付記したクラウドサービスが数多く提供されています。ただ、ここで解説したベアメタルクラウドとベアメタルサーバのように、サービスによってその内容は異なります。こうしたサービスを利用する際には、物理サーバが提供されるタイミングや料金体系をしっかりチェックしましょう。