【CSのプロが伝授】カスタマーサクセス(CS)からビジネスに役立つノウハウを学ぶ 「Day O(デイゼロ)」とは
カスタマーサクセス(以下CS)の設計から実際の業務まで深く入り込み、トータルで支援する新サービス「CustomerCore」のアドバイザリーとして、多くの企業のCSをサポートする中村風夏さん。彼女が講師を務めたWebセミナー「キックオフミーティングの進め方でオンボーディングが変わる!」では、そのなか使われた「Day 0」という言葉が、CS以外のビジネスシーンでも活用できると話題に! CSのプロがそのノウハウを伝授するこの連載。第1回目は今注目を集めている「Day 0」について教えてもらいました。
1.カスタマーサクセスWebセミナー「キックオフミーティングの進め方でオンボーディングが変わる!」とは
―カスタマーサクセスWebセミナー「キックオフミーティングの進め方でオンボーディングが変わる!」を開催されましたが、キックオフミーティングをテーマに選んだ理由を教えてください。
キックオフミーティングは、CSでお客さまと接点を持つ最初の機会になります。そこでいかに中長期的な視点で目線を合わせ、関係構築ができるか否かによって、オンボーディング、さらにはその後のCS全体の成果が大きく変わります。CSにおける最重要ポイントの一つと言って過言ではありません。
ところが多くのCSの担当者はキックオフミーティングにそれほど重きを置いていないというか、その重要性を分かってない方が多いと感じていました。そこでもう一度キックオフミーティングの重要性を認識してもらうと共に、正しいキックオフミーティングの進め方を知ってもらうために、このセミナーを開催しました。
キックオフミーティングは、CSでお客さまと接点を持つ最初の機会になります。そこでいかに中長期的な視点で目線を合わせ、関係構築ができるか否かによって、オンボーディング、さらにはその後のCS全体の成果が大きく変わります。CSにおける最重要ポイントの一つと言って過言ではありません。
ところが多くのCSの担当者はキックオフミーティングにそれほど重きを置いていないというか、その重要性を分かってない方が多いと感じていました。そこでもう一度キックオフミーティングの重要性を認識してもらうと共に、正しいキックオフミーティングの進め方を知ってもらうために、このセミナーを開催しました。
―キックオフミーティングが上手くできていない理由はどこにあるのでしょうか?
キックオフミーティングで目指すべきゴールは、お客さまとの目線合わせです。
ヒアリングをしていく中で、お客さまから必要な情報を聞き出し、お客さまが目指している方向性を理解する。その上でお客さまにもCSとしての役割を理解してもらう。キックオフミーティングが終わった頃にはお互いに目線が一致した状態になっているのが理想です。
ところがこの認識が浅く、何のためにキックオフミーティングをするのかを分かっていないCSの担当者がすごく多いんです。
キックオフミーティングで目指すべきゴールは、お客さまとの目線合わせです。
ヒアリングをしていく中で、お客さまから必要な情報を聞き出し、お客さまが目指している方向性を理解する。その上でお客さまにもCSとしての役割を理解してもらう。キックオフミーティングが終わった頃にはお互いに目線が一致した状態になっているのが理想です。
ところがこの認識が浅く、何のためにキックオフミーティングをするのかを分かっていないCSの担当者がすごく多いんです。
キックオフミーティングでよくあるNGなパターンが2つあります。
1つめが、自社のツールやサービスの使い方だけを説明して終わっているパターンです。お客さまからの問い合わせを少なくすることに重点を置いているために、自分たちが伝えたいことだけを話して終わってしまう。これではお客さまから情報を聞き出すことはできません。
2つめが、お客さまからここの設定をこう変えてほしいと要望され、作業だけして終わってしまうもの。これもよくあるパターンです。なぜその設定が必要なのか、そこにはどういった目的があるのかを聞き出し、その背景や課題を明らかにすることが重要です。
お客さまの中にはCSとカスタマーサポートの違いが分からず、「CS=サポートしてくれる人」という認識でとどまっている方もいらっしゃいます。これでは今後もただの作業人で終わってしまいます。「CS=サポートではなく、一緒に伴走するパートナー」としてお客さまに認識してもらうことも、キックオフミーティングの重要な役割です。
お客さまにはCSの役割を理解してもらう、CSの担当者はお客さまの考えていることが分かる、ある意味お客さまの分身と言えるまで思考を深めることができれば、このキックオフミーティングは大成功だと言えます。
ただ、そのためにはある程度の時間が必要です。できれば2時間ほど時間が欲しいところですが、お客さまによっては1時間程度で終わってしまうこともあります。この時間で成果を残すために重要なのが「Day 0」です。
1つめが、自社のツールやサービスの使い方だけを説明して終わっているパターンです。お客さまからの問い合わせを少なくすることに重点を置いているために、自分たちが伝えたいことだけを話して終わってしまう。これではお客さまから情報を聞き出すことはできません。
2つめが、お客さまからここの設定をこう変えてほしいと要望され、作業だけして終わってしまうもの。これもよくあるパターンです。なぜその設定が必要なのか、そこにはどういった目的があるのかを聞き出し、その背景や課題を明らかにすることが重要です。
お客さまの中にはCSとカスタマーサポートの違いが分からず、「CS=サポートしてくれる人」という認識でとどまっている方もいらっしゃいます。これでは今後もただの作業人で終わってしまいます。「CS=サポートではなく、一緒に伴走するパートナー」としてお客さまに認識してもらうことも、キックオフミーティングの重要な役割です。
お客さまにはCSの役割を理解してもらう、CSの担当者はお客さまの考えていることが分かる、ある意味お客さまの分身と言えるまで思考を深めることができれば、このキックオフミーティングは大成功だと言えます。
ただ、そのためにはある程度の時間が必要です。できれば2時間ほど時間が欲しいところですが、お客さまによっては1時間程度で終わってしまうこともあります。この時間で成果を残すために重要なのが「Day 0」です。
2.キックオフミーティングを上手く進める「Day 0」とは
―キックオフミーティングを上手く進めるためには「Day 0」が重要ということですが、最初に「Day 0」の言葉の意味を教えてください。
「Day 0」は、キックオフミーティングが始まる前に行う事前準備のことです。CS業界でも「Day 0」は一般的な用語ではなく、私たちCustomerCoreのアドバイザリーの間で使っていた用語なのですが、セミナーに参加していただいた方から「Day 0」という言葉が印象に残ったというコメントを多くいただいて、驚いています(笑)。
「Day 0」は、キックオフミーティングが始まる前に行う事前準備のことです。CS業界でも「Day 0」は一般的な用語ではなく、私たちCustomerCoreのアドバイザリーの間で使っていた用語なのですが、セミナーに参加していただいた方から「Day 0」という言葉が印象に残ったというコメントを多くいただいて、驚いています(笑)。
―そうだったんですね。どうして事前準備である「Day 0」が重要なのでしょうか。
先ほどCSとカスタマーサポートは違うという話をしましたが、CSはコンサルティングに近いと私たちは思っていて、CSが担う役割はいかにお客さまのビジネスを良くしていくかであり、突き詰めていくと、お客さまのビジネスの成功を支援する存在であると思っています。
これは自分たちだけがそう思っていてもダメで、お客さまにも認識してもらう必要があります。
自分が経営者だと思って考えてほしいのですが、最初にコンサルタントと打ち合わせをするときは「コンサルティングなんて言っているけど、どこまで成果を出してくれるんだ。この業界のこと、本当に分かってるの?」と疑心暗鬼の状態になりませんか。CSのキックオフミーティングもまさにこの状態になります。
そこで自社のホームページに載せているような基本情報を質問してきたら「あれ、この人に頼んで大丈夫なのかな」と一気に期待値が下がってしまいます。こんな状態では自社の詳しい話をしようとは思いませんよね。
そこでしっかりと踏み込んだ質問やお客さまの業界やビジネス状況に合わせた会話ができれば「あ、この人分かってくれている」と認識がスイッチしませんか。実際に私は「Day 0」で準備してきたことで、お客さまが前のめりになる、瞬間を何度も目にしています。お客さまの信頼を勝ち取り、心を開くためには、いかにしっかりと準備をするか、すなわち「Day 0」がとても重要になってきます。
先ほどCSとカスタマーサポートは違うという話をしましたが、CSはコンサルティングに近いと私たちは思っていて、CSが担う役割はいかにお客さまのビジネスを良くしていくかであり、突き詰めていくと、お客さまのビジネスの成功を支援する存在であると思っています。
これは自分たちだけがそう思っていてもダメで、お客さまにも認識してもらう必要があります。
自分が経営者だと思って考えてほしいのですが、最初にコンサルタントと打ち合わせをするときは「コンサルティングなんて言っているけど、どこまで成果を出してくれるんだ。この業界のこと、本当に分かってるの?」と疑心暗鬼の状態になりませんか。CSのキックオフミーティングもまさにこの状態になります。
そこで自社のホームページに載せているような基本情報を質問してきたら「あれ、この人に頼んで大丈夫なのかな」と一気に期待値が下がってしまいます。こんな状態では自社の詳しい話をしようとは思いませんよね。
そこでしっかりと踏み込んだ質問やお客さまの業界やビジネス状況に合わせた会話ができれば「あ、この人分かってくれている」と認識がスイッチしませんか。実際に私は「Day 0」で準備してきたことで、お客さまが前のめりになる、瞬間を何度も目にしています。お客さまの信頼を勝ち取り、心を開くためには、いかにしっかりと準備をするか、すなわち「Day 0」がとても重要になってきます。
―「Day 0」では具体的にどんな準備をすればいいのでしょうか。
大前提として、ホームページを見れば載っているような情報は、全て吸い上げておく必要があります。その上で、キックオフミーティングの参加者についてもバイネームで調べます。
会社規模によってキックオフミーティングへの参加者は変わってきます。社長が参加することもあれば、現場に近い担当者の場合もあります。その人がどういう役割でどういったことを期待しているのか、インタビュー記事やSNSなどに目を通して情報をインプットしておく。そうすることで、話のきっかけになるだけではなく、自分自身としてもお客さまの考えがある程度理解でき、気持ちに寄り添うこともできるようになるはずです。
さらに営業担当者とコミュニケーションをとり、情報を共有しておくことも重要です。実際にお客さまと会っている営業は現場の生の声を知っています。特にこのプロジェクトに関わる人の組織図、今回のキーマン、プロジェクトを進めていく上で必要な人物は誰なのかは、できれば営業の段階で聞いて欲しい情報になります。営業との情報連携が上手くいくとより深い「Day 0」ができるはずです。
大前提として、ホームページを見れば載っているような情報は、全て吸い上げておく必要があります。その上で、キックオフミーティングの参加者についてもバイネームで調べます。
会社規模によってキックオフミーティングへの参加者は変わってきます。社長が参加することもあれば、現場に近い担当者の場合もあります。その人がどういう役割でどういったことを期待しているのか、インタビュー記事やSNSなどに目を通して情報をインプットしておく。そうすることで、話のきっかけになるだけではなく、自分自身としてもお客さまの考えがある程度理解でき、気持ちに寄り添うこともできるようになるはずです。
さらに営業担当者とコミュニケーションをとり、情報を共有しておくことも重要です。実際にお客さまと会っている営業は現場の生の声を知っています。特にこのプロジェクトに関わる人の組織図、今回のキーマン、プロジェクトを進めていく上で必要な人物は誰なのかは、できれば営業の段階で聞いて欲しい情報になります。営業との情報連携が上手くいくとより深い「Day 0」ができるはずです。
3. 日々のビジネスにも役立つ「Day0」思考
―「Day 0」はCSに限らず、他のビジネスシーンでも活用できそうですね。
そうですね。例えば営業でも「Day 0」は絶対に必要です。商談をするときにある程度お客さまの会社について知識がないと、専門的な話が出てきた時にそこでハテナが頭の中に浮かんで思考が停止してしまいます。あとはどんなビジネスでも最終的に決定をするのは人ですので、伝え方一つで刺さり方が変わってきます。意思決定を下す人がどんな人なのか、相手を理解し、そのための準備をしておくことはとても大切だと思います。
そうですね。例えば営業でも「Day 0」は絶対に必要です。商談をするときにある程度お客さまの会社について知識がないと、専門的な話が出てきた時にそこでハテナが頭の中に浮かんで思考が停止してしまいます。あとはどんなビジネスでも最終的に決定をするのは人ですので、伝え方一つで刺さり方が変わってきます。意思決定を下す人がどんな人なのか、相手を理解し、そのための準備をしておくことはとても大切だと思います。
―相手の担当者がいくら調べても分からない場合もありますよね。そういうときはどうすればいいですか。
私は必ず、採用情報のホームページを見るようにしています。採用情報に載っている社員の方のインタビューから会社の雰囲気や今取り組んでいる事業内容が分かりますし、募集している職種を見るだけでもその会社の状況や課題がイメージできるので、これは絶対にお勧めです。
あとは「Day 0」はただ情報をインプットして終わってはいけません。会社としてこの先どうなっていきたいのか、担当者がどういうことを考えているか仮説を立て、どういう提案をしたら刺さるのかまで考えておくことが重要です。相手の立場になって考えることで、お客さまへの理解がより深まるはずです。
私は必ず、採用情報のホームページを見るようにしています。採用情報に載っている社員の方のインタビューから会社の雰囲気や今取り組んでいる事業内容が分かりますし、募集している職種を見るだけでもその会社の状況や課題がイメージできるので、これは絶対にお勧めです。
あとは「Day 0」はただ情報をインプットして終わってはいけません。会社としてこの先どうなっていきたいのか、担当者がどういうことを考えているか仮説を立て、どういう提案をしたら刺さるのかまで考えておくことが重要です。相手の立場になって考えることで、お客さまへの理解がより深まるはずです。
―「Day 0」は考え方としては当たり前のことですが、実際にできている人は少ないような気がします。
日々、目の前のお客さまと向き合っているなかで、新規のお客さまの事前準備にどれだけ時間を割けるかは、正直難しいとは思います。だからこそ我々としては仕組み化するために「Day 0」という言葉を使っています。事前準備というありきたりな言葉で終わらせるのではなく、「Day 0」という言葉を使うことで、その重要性をクローズアップできます。CSに限らず営業やその他のビジネスの現場でも「Day 0」という言葉が浸透するとうれしいです。
日々、目の前のお客さまと向き合っているなかで、新規のお客さまの事前準備にどれだけ時間を割けるかは、正直難しいとは思います。だからこそ我々としては仕組み化するために「Day 0」という言葉を使っています。事前準備というありきたりな言葉で終わらせるのではなく、「Day 0」という言葉を使うことで、その重要性をクローズアップできます。CSに限らず営業やその他のビジネスの現場でも「Day 0」という言葉が浸透するとうれしいです。
―最後に、今後どんな方にWEBセミナーへ参加いただきたいかメッセージをお願いします。
当然、CSの担当者がメインにはなってくるとは思いますが、現場の担当者だけではなく、経営層の方にも参加いただきたいです。CSは多くの企業で導入が進んでいますが、まだまだ予算も少ないですし、規模も小さくなっています。カスタマーサクセスWebセミナーでは、CSで実際にどんなことができるのか、CSが変われば会社にどれだけメリットがあるのか、その重要性を届けたいと思っています。ぜひ経営層の方も参加いただいて、CSについての理解を深める機会にしていただけると嬉しいです。
当然、CSの担当者がメインにはなってくるとは思いますが、現場の担当者だけではなく、経営層の方にも参加いただきたいです。CSは多くの企業で導入が進んでいますが、まだまだ予算も少ないですし、規模も小さくなっています。カスタマーサクセスWebセミナーでは、CSで実際にどんなことができるのか、CSが変われば会社にどれだけメリットがあるのか、その重要性を届けたいと思っています。ぜひ経営層の方も参加いただいて、CSについての理解を深める機会にしていただけると嬉しいです。
株式会社リンク
Customer Coreアドバイザリー
中村 風夏
アメリカの大学で語学とダンスを学んだ後、世界最大のチームビルディングネットワーク「Catalyst Global」の日本パートナーとして、新規コンテンツの開拓からローカライズ、イベントの企画・提案・ファシリテーションに至るまで多岐にわたる業務を経験。また、CRMツールの開発、提供を行う企業にてインサイドセールス立ち上げやカスタマーサクセスを担当。