営業トークスクリプトの作り方を基本の型から解説|キーワードは「具体性」
この記事では、顧客とのコミュニケーションに悩みを抱える営業担当者やその指導者に向けて「トークスクリプトの作り方」をお伝えしいます。
営業活動をする中で「話の進め方はこれでよかったかな…」「着地が見えないやりとりをしてしまっているな…」など営業トークに迷った経験はないでしょうか。
実はコールセンターなどでよく使われる「トークスクリプト」が、このような悩みを抱える営業担当者の心強い味方になります。この記事では、顧客とのコミュニケーションに悩みを抱える営業担当者やその指導者に向けて「トークスクリプトの作り方」をお伝えしていきます。
トークスクリプトとは
「トークスクリプト」と言えば、コールセンターやテレアポで活用されているイメージが強いのではないでしょうか。ですが冒頭でお話しした通り、トークスクリプトは通常の営業活動においてもアポ獲得や商談取り付け、案件創出などの道しるべとして活躍します。
営業にとってのトークスクリプトの重要性
営業担当者にとって、トークスクリプトは「地図」のような役割を果たします。ベテラン営業であればまだしも、まだ経験の浅い担当者や取り扱い始めたばかりの新しい商材の場合、シナリオなく闇雲に営業活動を続けることは、地図を持たずに旅に出るようなものと言えます。見当違いな提案をしてしまったり、話の展開が不自然になってしまったり、着地の見えない会話を繰り返してしまったり、大事なことを伝えそびれたり…と失敗の可能性が高まります。
『営業活動成功のための台本』として事前に商談の流れをイメージし、トークスクリプトを作って覚えておけば、前述のような初歩的な失敗をする心配はありません。またトークの構成を統一することで顧客の反応も比較しやすくなり、改善点も明確になってきます。
加えて、最近ではオンライン商談が増えており、トークスクリプトを見ながらの営業活動が可能になったという背景もあります。実際にベルフェイス株式会社が営業担当者500名を対象に行ったアンケート調査では、約95%の担当者がコロナをきっかけにオンライン商談の機会が増えたことを実感しているそうです。
とは言えオンラインでの商談は、従来の訪問営業とはコミュニケーションの取り方など異なる部分も大きいため、ベテランの営業でももしかすると戸惑ってしまうのではないでしょうか。効果的なオンライン営業をするにあたり、この機会に自らの商談の進め方・営業トークを見直し、オンライン商談に合わせたトークスクリプトを作ってみるのもいいでしょう。
トークスクリプトのメリット
トークスクリプトが重要であることはわかりましたが、活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。大きく分けて、以下の4つが考えられます。
新人でも営業トークの質を担保できる
新人営業担当者でも、スクリプト通りに話を展開すれば先輩営業担当者に引けを取らないトークの質を担保できます。
ベースとなるスクリプトを覚えてしまえば、新人営業担当者はプレゼンを円滑に進めるコツをつかみやすく、ブラッシュアップのスピードを上げられます。
ヒアリングに注力できる
営業は顧客の課題解決をするために、自社と顧客を繋げる存在です。つまり、営業の本質的な役割は「上手にトークを展開すること」ではなく、「顧客の課題を見つけること」です。
もしもトークを毎回ゼロから考えていたら、「どのように伝えよう」「どういった順序で話そう」といったようにトークを円滑に進めていくことに気を取られてしまいます。すると、ヒアリングすべき内容を取りこぼしてしまったり、顧客の潜在的な課題を見逃してしまったり、肝心の顧客の反応を見逃してしまう可能性が高まってしまいます。
ベースとなる話の展開や、想定される大まかなパターンはスクリプトを作成して覚えておき、顧客へのヒアリングに意識を集中させましょう。
効果検証がしやすくなる
毎回違う話の展開をすることにより考えられる懸念点はもう一つあります。それは、会話を繰り広げる中で、どのポイントが原因で失敗してしまうのかが見えづらいことです。
トークスクリプトを使うメリットとして、毎回同じものを使用することで、顧客が示す反応を参考にそのスクリプトの強み・弱みを分析できることが挙げられます。
また一部分だけトーク内容を変えてABテストを、どちらの勝率が高いか効果検証をするようなこともできるでしょう。
新規開拓が効率的&効果的になる
行動件数がアポ獲得数の分母となる新規開拓において、効率が良いか、効果的なアプローチであるかどうかは成果に直結します。まだ相手との信頼関係を築けていない新規開拓では、早い段階で「もっと詳しく話を聞いてみてもいいかな」と思ってもらうことが重要です。
トークスクリプトを利用することで効率的なアプローチが可能になりますし、自分なりの鉄板トークをスクリプトに落とし込みブラッシュアップしていけば、今できる最大限の力が発揮され、より効果的なアプローチが出来ます。
基本となる商談の流れとは
それでは、トークスクリプトを作成するにはどのようなポイントを押さえればいいのでしょうか。効果的なトークスクリプトを作成するにあたり、まずは基本となる営業プロセスを確認しましょう。実は、対面時と非対面時では話の進め方が変わるのです。
対面の場合
まず、対面の場合は以下の流れをトーク設計の基本の型としてください。
(1)アイスブレイク
空間を共有する対面の場合、雰囲気作りは顧客の警戒心を解くにあたり重要です。雑談を交えてお互いの緊張をほぐしましょう。
(2)ヒアリング
顧客の課題抽出をするため、悩みやその背景を聞き、自社で課題を解決出来るかどうか見定めます。
(3)プレゼン
顧客の課題と自社で提供できることが繋がると判断した場合、自社がどのように顧客の課題を解決できるのかプレゼンに移ります。
(4)クロージング
次のアポや商談の約束、自社もしくは顧客のアクション等、何かしらの着地を決めます。
オンラインの場合
オンライン営業の場合、好ましいアプローチ方法は「まず結論から」話し、「簡潔に」会話を進めることです。構成としても雑談から入るのではなく、本題からのスタートを意識しましょう。
(1)プレゼン
オンラインでは相手の集中力が途切れやすいため、早い段階で本題に入り「有力な情報が得られるかも」と期待を持たせるのが重要です。
ただし、オンライン名刺などを用意して簡単な自己紹介をする分には問題ありません。その際には間延びを避けるため、簡潔さを心がけましょう。
(2)ヒアリング
ヒアリングは顧客を知るだけでなく、相手を飽きさせないためにも重要です。話しすぎず、相手の発信に耳を傾けましょう。
(3)クロージング
冒頭のプレゼンと直前のヒアリング内容を踏まえて、アポ・商談獲得などのクロージングをかけましょう。
(4)アイスブレイク
一通り話したいことを話し終えられたら、残りの時間は雑談や、顧客が関心を持ちそうな話題を振ることで顧客との心の距離を縮めましょう。「どんな話をすればいいか迷う」という方は、以下の記事も参考にしてください。
「オンライン商談でもアイスブレイクは出来る!明日からの営業に使えるテクニック集」
https://remomee.jp/tele-meeting-note/sales/110/
トークスクリプト作成のポイント
基本の話の流れが分かったところで、実際にスクリプトを作成する際に意識したいポイントをお伝えしておきます。
具体性のある情報を入れる
説得力のあるプレゼンにするために、数字や事例を用いて顧客からの信頼を獲得しましょう。この時、できるだけ具体的な情報を揃えるよう意識します。
例えば、「弊社のサービスを導入して、効果を実感しました!」というプレゼンより、「サービス導入直後は〇%、半年後には〇%問い合わせ数がアップしました!」などのように定量的な情報を盛り込むことで、裏付けをもったアピールができます。
根拠のある数字や事例を交えたトークスクリプトにすることで、説得力が増し顧客の納得感を高めることが出来ます。
想定シナリオを作成する
ヒアリング時と提案時では会話の進め方が異なるので、営業シーンや顧客の検討段階、想定される状況に合わせた複数のシナリオを用意しておきましょう。
新規獲得の場合も同じように営業シーンや想定される反応のパターンごとに分け、出来るだけ具体的に相手の反応に応じた話の展開や切り返しを用意しておきます。
また、シナリオを作成するにあたり、フローチャートを作ってみるのも効果的でしょう。エクセルで図形を用いたり、『coggle』のようなアプリケーションを使って簡単に作成することができます。フローチャートを作ることで、起こりうる展開とそれに対するアクションを順を追って細かく分類できるためおすすめです。
このように綿密に予習をしておくことで、顧客からの質問や反応に対して焦らずスムーズに対応することができます。
トークスクリプトの作成は指導者レベル以上が行う
基本的には、トークスクリプトの作成は指導者レベル以上が行うのが好ましいです。なぜなら、新人の場合は場数が少なく自社理解も浅いため、表面的なアプローチになりがちだからです。先ほどお話した定量面での訴求や事例紹介をするにも、自社や業界に対する知見が無いことには引き出しがありません。また、成果が上がっていない担当者の場合も、プレゼン作成・シナリオ設計能力が成熟していない可能性があります。
これらの理由から、スクリプト作成は指導者レベル以上、もしくはトップセールスなど結果を出している人間が行うのがベストです。自社営業組織としての黄金セールストークを文字に起こし、スクリプト化しましょう。それが難しい場合には、教育担当や部署のリーダーなどの添削を挟むことで質を担保することをおすすめします。
オンライン商談ではトークスクリプトやカンペの機能を活用する
この記事の序盤でお話しましたが、オンライン商談をする場合、トークスクリプト=つまりカンペを出した状態でのプレゼンが可能です。導入しているツールによっては同じウインドウ内でカンペ表示が出来る場合もありますし、プレゼンでよく使われるPower Pointにもカンペ機能があるので、気になる方は調べてみてください。
ただ、やり方を間違えると画面共有した際にカンペが顧客に丸見えになってしまうこともあるので注意する必要があります。心配な場合は、もともとカンペ機能の付いたツール活用が安心でしょう。
またオンライン商談ツールの録画機能を使えば、自分のプレゼンを振り返ったり、トップセールスのプレゼンと見比べることでトークスクリプトを改善していくこともより容易となります。
まとめ
トークスクリプトは商談の台本になる上、オンライン営業ではそのままカンペとしても活用できます。組織内で同じスクリプトを使うことで営業トークの属人化を防ぎ、レベルの平準化も図れるため、部内への導入を検討してみても良いかもしれません。
顧客にとって分かりやすく具体性のあるトークスクリプトを作成し、営業活動の成果アップに繋げていきましょう!