サーバー監視ツールはどうやって選ぶ? OSS/有償ツール比較6選
ITシステムの安定稼働は、障害や不具合をいかに素早く検知し、対応できるかにかかっています。つまり、サーバーやネットワーク機器の状態をリアルタイムに監視し、適宜アラートをあげる監視ツールの活用が欠かせないのです。
しかし、監視ツールはOSS(無料ツール)、有償ツールともに種類が多く、それぞれ機能の幅や特徴・強みなどが異なります。監視ツールの選定では、それぞれの特性を理解したうえで、自社に最適なものを選ばなくてはなりません。ここでは、OSSおよび有償ツールから主要な監視ツールをピックアップし、機能比較を紹介します。
監視ツールとは?
一口に監視ツールといっても、その種類はさまざまです。そこで、まず監視ツールの大まかな分類について解説します。
用途・監視対象による分類
■サーバー監視ツール
稼働中のサーバーを監視するツールで、主にハードウェア情報やサーバー内のプロセス情報を監視します。監視項目の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・死活監視(ICMPによるPing応答監視)
・ポートレスポンス監視(HTTP、HTTPS、SMTP、FTP、SSH、DNSなど主なウェルノウンポート)
・各種リソースの使用率(CPUロードアベレージ、メモリ使用量、ストレージ閾値)
・サーバー内のプロセス監視(Webプロセス、メールプロセス、DNSプロセスなど)
■統合型監視ツール
統合型監視ツールは、サーバーに加え、ネットワークやアプリケーションなどを包括的に監視します。近年ではサーバー監視ツールとの境目が曖昧になってきていますが、一般的にはサーバー専用の監視ツールよりも多機能であり、費用も高くなることが多いです。
無償・有償の違いによる分類
■OSS
OSSは任意のコミュニティによって開発されている無償版ツールの総称です。機能拡張のためのプラグインなどが豊富である一方、監視サーバーの構築・設定・運用には一定の知識や技術力が必要になります。そのため、専門知識をもった人員の確保が不可欠といえるでしょう。ただし、人員確保さえできれば、柔軟かつ精密な監視設定・運用が可能です。
■有償ツール
特定のベンダーが開発した有償版のツールでは、ベンダーからのサポートが受けられたり、設定が自動化されていたりと、初期設定の手間が大幅に削減できます。また、一部では運用作業の自動化も可能です。さらに有償ツールは、AWSなどの特定のクラウドサーバーベンダーのみに対応する「特定ベンダー型」と、複数のサーバーベンダーに対応する「マルチベンダ型」に分類できます。複数のベンダーのサーバーが混在する環境では、マルチベンダ型のツールを活用した監視業務の標準化がおすすめです。
エージェントの有無による分類
監視ツールは、エージェントのインストールが必要か否かによって「エージェント型」と「エージェントレス型」にも分類できます。エージェントとは、「監視対象にインストールするソフトウェア」のことで、代表的なエージェントとして「SNMPエージェント」があります。また、エージェントが収集した情報を管理し、可視化する「マネジャー」というソフトウェアとセットで活用されます。
かつて、 監視ツールといえばエージェント型が主流でしたが、近年ではセキュリティや企業ポリシーの都合により、エージェントのインストールが認められないケースが増えています。また、SNMPエージェントを標準搭載している機器が増えたため、独自の監視エージェントをインストールする必要が無くなったことも、エージェントレス型が台頭する理由といえるでしょう。
エージェント型、エージェントレス型のメリット・デメリットは以下のように整理することができます。
OSSと有償ツールから監視ツール6つを比較
それでは、実際によく使われているOSS・有償ツールからそれぞれ3つをピックアップし、機能面の比較を行います。
■zabbix
世界で最も普及しているOSS監視ツールのひとつで、サーバー及びネットワーク機器の監視を得意とする統合型監視ツールです。SNMPエージェントを利用した監視やzabbixエージェントによる監視、ソフトウェアインストール不要の監視など、複数の監視方法を選択できるほか、Web上からの設定も可能です。
■nagios
zabbixと同じく、世界的に普及している統合型監視ツールです。nagios本体とプラグイン、アドオンプログラムで構成されており、本体は監視結果の収集や保存・通知を行い、実際の監視はプラグインが行います。また、いわゆるエージェントの役割はアドオンプログラムが果たしています。 無料で配布されているプラグインを活用することで、対応するハードウェア・ソフトウェアが大幅に増えることも強みの一つです。
■hinemos
NTTデータによって開発された純国産のOSS総合型監視ツールです。専用のGUIクライアントを備えるほか、バッチジョブを管理する「ジョブ管理機能」を持っています。また、国産ツールならではの、日本語によるドキュメントも強みといえるでしょう。
また、有償ツールからは、主にクラウド対応に特化した以下3製品をピックアップしました。
■Mackerel
■JIGSAW
■Datadog
比較結果
まとめ
本稿では、監視ツールの概要を解説しつつ、OSSおよび有償監視ツールの比較を行ってきました。監視ツールは、ツールによって監視可能な項目や設定方法に違いがあります。また、OSSではライセンス費用はかからないものの専門知識をもった人材の確保が、有償ツールではイニシャルコストやランニングコストが必要です。
クラウドサーバーベンダーの中には、監視サービスをオプションとして提供していることがあり、これを活用することで人件費やライセンス費用の節約につなげられます。自社で専門の人材の確保ができない場合は、監視・運用を専門とするマネージドサービスプロバイダーに一任してしまう方法も検討してみるべきでしょう。