迷惑メールだと判定されてしまう理由とは? スパム判定のチェックポイントと回避方法を解説
送ったメールが届かない…。メールマーケティングの意外な落とし穴
数あるマーケティング施策の中でも、メールマーケティングは顧客や登録会員一人一人に対し、手軽に直接アプローチをできるため非常に重要なコミュニケーション手法です。しかし、いくら多くのメールを送信しても、送信したメールが「迷惑メール」と判断されてしまい、顧客へ届かなければ意味がありません。
例えば、ECサイトで商品購入完了や配送通知などのメールが届かなければ、ユーザーの不安をあおり、クレームなどのトラブルの元にもなりかねません。
本記事では、送信したメールが迷惑メールになってしまう理由と、迷惑メールと判定されないためにできることを解説します。メールマーケティングの改善にぜひお役立て下さい。
※本記事は最新の情報をもとに、2021/9/30に内容を更新いたしました。
なぜ迷惑メールと判定されるのか
まずは送信したメールがなぜ迷惑メールとして判定されてしまうのか、その理由について解説していきます。
メルマガやECサイト、システムなどから送信した問題のないはずのメールが届かない原因は、基本的にキャリアやISP、メールプロバイダ(フリーメールサービスの事業者)がスパムメールを防ぐために導入している各種迷惑メール対策技術や迷惑メールフィルタによるものです。つまり、意図していなくとも、迷惑メールを配信する「スパマー」だと疑われるような方法でメールを送信してしまうと、迷惑メールだと判定されてしまうのです。
迷惑メール対策として取り入れられている技術や判定基準は、各キャリアやメールプロバイダによって異なるので一概には言えませんが、大きく分けると ①送信方法 ②送信環境 ③メール内容 に問題がないかがチェックされます。
①メールの送信方法の問題
まず、スパマーと疑われるようなメール送信をしていないかというチェックがあります。
メールの送信に使われているSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、認証の仕組みがなく誰でも自由にメールを送信できるという特徴があります。迷惑メールを配信するような業者(スパマー)はこれを悪用し、宣伝や詐欺などを目的に無差別かつ大量にメールを送信しています。
そのため、もっとも一般的なスパム対策として、メールを無差別かつ大量に送っている送信元をブロックするという方法があります。つまり、大量のメールを一斉に(もしくは非常に短い間隔で)送信したり、送信したメールのうちエラーとなる割合が高かったりすると、無差別に大量送信しているスパマーだと疑われやすいということです。そのほかにも、RFCや各キャリアなどが定めているメール送信のルールに準拠しないような方法で送信していると、同様にスパマーだと判断されブロックされる原因となります。
②メールの送信環境の問題
メールの送信環境に関しては、送信元サーバーのIPアドレス、ドメイン、DNSが正しく設定されているかなどが確認されます。
具体的には、インターネット上ではスパム対策として怪しいメール送信者を発見・リストアップ・共有するための仕組みが存在しています。例えばRBL(Real-time Blackhole List)/ DNSBL(DNS Blackhole List)といった、いわゆる「ブラックリスト」は、迷惑メールの送信元IPアドレスやドメインを収集し、登録しています。そしてこのリストをキャリアやISPなどもスパム判定に利用しているため、ブラックリストに載ってしまうと迷惑メールとしてブロックされるリスクが高まります。
似たような仕組みとして、今までのメール送信実績から送信元IPアドレスの信頼度をスコア化した「IPレピュテーション」というものもあります。取得したばかりの新しいIPアドレスや、今までメール送信に利用されていなかったIPアドレス、過去にスパマーが利用したIPアドレスなどはIPレピュテーションが低いため、それが理由でブロックされてしまう可能性があります。
③メールの内容の問題
メールの内容に関しても問題がないか確認されます。
具体的には、詐欺や違法なビジネスに誘導するような内容ではないか、フィッシングサイトやアダルト系、その他悪意のあるサイトへアクセスさせるURLを載せていないかといった点がチェックされます。
また、配信されたメールに対して受信者がする行動によって、迷惑メールになる場合があります。例えば、Googleなどのプロバイダでは、メール受信者がメールを開いたか、迷惑メールのフォルダーに移動させているかどうかを分析しています。「迷惑メールとして報告」されることはもちろん評価に大きな影響を与えますが、それだけでなく配信したメールが読まれていないことがわかると、開封していない=必要のないメールとみなし、そのメールは迷惑メールだと判断される可能性が高くなります。コンテンツの内容自体に問題がなくとも、受信者の必要としていない内容のメールを執拗に送ることは、メールの到達率全体への悪影響にもなりかねないのです。
迷惑メールに判定させないための対策とは
では、迷惑メールと判定されないようにするには、具体的に何をすればいいのでしょうか? 気にすべきポイントと対策について解説します。
①メール送信方法のチェックポイント
●配信速度・大量送信に気をつける
前述したとおり、メールの大量送信はスパマーだと疑われる大きな要因です。特に、IPレピュテーションの高くないIPアドレスから突然大量のメールを送るとキャリアやメールプロバイダからブロックされる可能性が高いです。キャリア側が定める一定時間内に受信可能なメールの数を超えるペースで送信した場合、「IPスロットリング」と呼ばれる状態になり、メールの受信を一時的に拒否されてしまいます。
回避するためには、時間をかけてメールを小分けにして送信することや、「IPウォームアップ」と呼ばれるIPレピュテーションを上げる対策を行う必要があります。もしくは、メールの大量送信が可能なメールリレーサービスやメール配信サービスを利用するのが望ましいでしょう。
IPスロットリングについての詳しい解説はこちら
メールが届かない!「IPスロットリング」の原因・回避方法とは? |
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IPウォームアップについての詳しい解説はこちら
メール一斉送信のリスクを低減!「IPウォームアップ」の効能と具体的な手順 |
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メールリレーサービスについての詳しい解説はこちら
SMTPリレーとは!? 今さら聞けないメール配信の基礎知識 | ベアメールブログ
●「なりすまし」をしない
「From」(差出人)に実際の送信者と異なるアドレスを設定し、メールを送信することは「なりすましメール」と言い、フィッシング詐欺やマルウェア感染させるためのサイバー攻撃など、迷惑メールでよく利用される手口です。スパマーと判定される可能性が高いため、許可なく他のドメインや送信者をFromに設定してメールを送信するようなことは行わないようにしましょう。
そのつもりがなくとも、外部のメール送信サービスを使用する場合なども自社ドメインが管理するサーバー以外からの送信となるため、後述する「送信ドメイン認証」を行うなどの対策が必要です。
●希望する人にだけメールを送る
スパマーはさまざまな方法でメールアドレスを入手しているため、送信先のメールアドレスが存在せず、不達エラーになってしまうものが少なくありません。つまり、エラーメールの多さは迷惑メールだと判断される恐れがあります。
また、メールの受信に同意していない人に対し広告宣伝のメールを送信する行為は、迷惑メール防止二法(※)によって禁止されています。よって、顧客からメールアドレスを取得する際にはメルマガの購読を希望するか確認することと、メールアドレス確認のためにダブルオプトイン方式を採用することが望ましいでしょう。
「ダブルオプトイン」とは、オプトイン(利用者がメールを受け取る意思を示すこと)をダブルで行うことです。仕組みとしては、登録したメールアドレス宛に仮登録のメールを送り、メール本文に記載されているURLをクリックすることで正式な登録とするというものです。これによって実在しないメールアドレスを配信リストに加える可能性を下げることができます。
※迷惑メール防止二法:「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」および「特定商取引法」
●リストを定期的にクリーニングする
無効のメールアドレスにメールを送り続けていると、無差別にメールを送信しているスパマーだと判断され、迷惑メールのブラックリストに載る恐れがあります。
配信してもいつもエラーとなるメールアドレスがある場合は、適宜メール配信リストのクリーニング(※)を行い、エラーメールの数が少なくなるようにしましょう。なお、無効のメールアドレスにメールを配信すると配信直後にUser Unknownなどのエラーを示したバウンスメールが返ってきます。こうしたバウンスメールが返ってくるアドレスはこまめにリストから削除するようにしてください。
※リストのクリーニング:エラーとなるアドレスを配信先から削除し、配信リストを健全な状態に保つこと
バウンスメールについての詳しい解説はこちら
バウンスメールのリスクを解説!具体的な対策も紹介 | ベアメールブログ
バウンスメールに書かれている「エラーコード」についての解説はこちら
メールのエラーコード(SMTPステータスコード)の意味と対策 | ベアメールブログ
②メール送信環境のチェックポイント
●IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていないか確認する
ブラックリストとは迷惑メールや不正なコンテンツを配信している送信元を収集・登録し、共有しているリストのことを意味します。ブラックリストは各ISPやメールプロバイダなどが独自に運用しているものと、国際的なNPOなどが作成し共有しているサービス(代表的なものだと「Spamhaus」など)があり、これらのブラックリストに自社のIPアドレスやドメインが登録されてしまうと、いくらメールを配信しても受信者の元に届かない、という事態に陥ります。
ブラックリストに載る理由としては以下のようなものが挙げられます。
・一度に大量のメール配信を行っている
・無効なメールアドレスにメールを何回も送信する
・スパムトラップ(迷惑メール業者を探すためのトラップ)に何度もメールを送った
ブラックリストに載ってしまうとメールの到達率が著しく下がってしまうため、ブラックリストに登録されないような運用を心がけ、ブラックリストに登録されていないかこまめに確認をするのが望ましいでしょう。
ブラックリストへの登録状況の確認や、解除方法についてはこちら
ブラックリスト登録されたメールの確認・解除方法について | ベアメールブログ
●SPFやDKIMなど送信ドメイン認証に対応する
送信ドメイン認証とは、簡単にいうとメールの送信元の正当性を確認するための仕組みのことです。企業がメール配信を行う際、送信元を偽装していないことを証明するために必要となります。各キャリアやメールプロバイダは、迷惑メール対策として送信ドメイン認証の有無もチェックしているため、送信ドメイン認証に対応していないとスパムだと疑われる原因になり得ます。 送信ドメイン認証は、認証方式や目的の異なるものがいくつか存在しています。現在普及しているものとしては、「SPF」と「DKIM」が挙げられます。特にSPFは、SPFレコードと呼ばれる送信元サーバーの情報をDNSに登録するだけで簡単に導入できるため、まずはSPFに対応することをお薦めします。
SPFとDKIMの概要と確認方法についてはこちら
なりすましメール対策「SPF」「DKIM」の具体的な確認方法| ベアメールブログ
SPFの設定方法についてくわしく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
SPFレコードの書き方とは? 記述例を総まとめ | ベアメールブログ
●IPレピュテーションを高く保つ
IPレピュテーションとは、メール送信元のIPアドレスの信頼性のことです。IPアドレスがブラックリストに載っていなかったとしても、取得したばかりの新しいIPアドレスや、今までメール送信に利用されていなかったIPアドレス、過去にスパマーが利用したIPアドレスなど、レピュテーションの低いIPアドレスから大量にメールを送信すると、受信を拒否される確率が高くなります。
例えばsenderscore.orgなど、IPレピュテーションをチェックできるWebサービスは複数存在しているため、自社の送信に利用しているIPアドレスに問題がないか確認してみると良いでしょう。
IPレピュテーションについて詳細はこちらの記事を参考にしてみてください
IPレピュテーションの基礎知識、メール到達率との関係を解説 | ベアメールブログ
●DNSを正しく設定する
メールの送受信とDNSは密接に関係しています。送信ドメイン認証もDNSを利用する仕組みですが、それ以外にも受信側メールサーバーは名前解決の仕組みを応用したセキュリティチェックを実施しています。具体的には以下を確認し、迷惑メールの可能性がないか判断しています。
・送信元SMTPサーバーのIPアドレスの逆引き(PTRレコード)が設定されており、かつ、逆引きしたホスト名の正引き(Aレコード)とマッチしているか?
・送信元SMTPサーバーのホスト名の正引き(Aレコード)が設定されており、かつ、正引きしたIPアドレスと送信元SMTPサーバーのIPアドレスがマッチしているか?
・エンベロープFromおよびヘッダFromのドメインのAレコードとMXレコードが設定されているか?
DNSの設定について、より詳細な解説は以下の記事をご参照ください。
迷惑メールに判定されないために注意したいDNS設定 Part2 | ベアメールブログ
③メール内容のチェックポイント
●簡単に購読解除できるようにする
受信者がメルマガを不要だと感じた際に、簡単に購読解除(オプトアウト)を行えるようにしておく必要があります。メール配信者は、配信するメールの中に必ずオプトアウトの方法・受信拒否の意思を伝える連絡先を明記することが義務付けられています。
また、メール内に購読を解除する方法の記載がなかったり、あったとしても手順が複雑で面倒な場合、メルマガを不要だと感じている受信者が「迷惑メールとして報告」してしまうリスクが高まります。ワンクリックで購読解除が可能なURLを設置することが望ましいでしょう。
●危険なサイトに誘導するURLを貼らない
フィッシングサイトや、マルウェアなどが仕掛けられていたり有害なソフトウェアを配布したりするような悪意のあるサイト、セキュリティレベルの低いサイトなど、安全ではないWebサイトのURLを貼ると高確率で迷惑メールと判断されてしまいます。中には正当なWebサイトが改竄などを受け、不正使用されている場合もあります。
Googleのセーフブラウジングで危険なドメインとして登録されていないかは、安全性を測る上で参考になるでしょう。
https://transparencyreport.google.com/safe-browsing/search
●アフィリエイトURLを貼らない
メールによっては、アフィリエイト目的でURLを貼り付けているケースもあるかもしれませんが、これも迷惑メールと判断される可能性があります。
例えば、GoogleのGmailでは、アフィリエイトに厳しい対応を取っているとされており、メールにアフィリエイトのURLがあると高い確率で迷惑メールと判断されてしまいます。
●短縮URLを使わない
URLが長くならないように、無料で使える短縮URL作成サービスを利用している企業もあるかもしれません。
しかし、短縮URLは、同じようなURLになりがちで、安全なサイトと危険なサイトの判別が難しくなるため、迷惑メールと判断されてしまうケースが多くあります。
長いURLを使いたくない場合は、ドメインを含めた短いURLを新たに作成するなどの対策が必要です。
●煽り文句を多用しない
煽り文句を使っているメールはスパムや迷惑メールと判別される可能性があります。煽り文句とは、例えば「あっという間に儲かる」「すぐにキャンペーンに申し込もう」といった表現が挙げられます。
煽り文句は迷惑メールのパターンとしてよく使われているので、利用は可能な限り抑えるようにしましょう。
●飾り罫線の利用を避ける
飾り罫戦とは例えば、▼や○を使って作る罫線のことです。
例:▼△▼△▼△
このような記号で作られた罫線は迷惑メールと判断されやすくなります。また、単純に文章が読みにくくなるので、利用しないようにしてください。
●装飾を過剰にしない
文字を強調するためにフォントを大きくしたり、色づけしたりしていると、迷惑メールと判断される可能性があります。これらの文字装飾は、迷惑メールでよく見られるパターンだからです。
●受信側が必要としている情報を届ける
送られてくるメールが受信者にとって特に必要のない情報しかなければ、受信者はメールを開封することすらしないでしょう。そうなると未開封状態のメールがたまり、いずれは迷惑メールと判断されてしまいます。
そのため、受信者が必要としている内容、読みたいと思えるような内容のメールを配信することが大切です。一度配信リストに登録してもらえればOKというわけではないので、定期的に内容の見直しを行うようにしましょう。
まとめ
迷惑メールと判定されてしまう原因はさまざまで、「メールが届かない」ということが起きたとき、その原因を調査し、突き止めるのはなかなか難しいかもしれません。まずはSPFレコードの設定・確認など簡単に対応できるところから始め、自社のメール配信に何か問題はないかひとつずつ見直していくことをお薦めします。
しかし、本記事でも解説した通り、迷惑メールとして判定される理由には複数の要因が考えられ、一つ一つ調査するには膨大な手間がかかります。当社が提供している「迷惑メールスコアリング」は、メールリレーサービス「ベアメール」で培ってきたメール配信のノウハウと、AI技術を組み合わせ開発した〈迷惑メールに判定される可能性〉が確認できるサービスです。テストメールを送信するだけで、本記事で解説したようなポイントについて多角的な診断を行い、迷惑メールとして判定される可能性・原因・改善策を確認することが可能です。
海外にも同様のサービスが存在しますが、迷惑メールスコアリングは日本国内サービスのため、日本語の本文診断や国内キャリア(docomo・au・Softbank)への到達率チェックなど、日本国内でのメール配信に特化しています。Gmail・icloud・Hotmail・Outlookなどへの到達率も診断することが可能です。
無償トライアルも可能なため、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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