カスタマーサクセスでヘルススコアはなぜ重要?主な指標や注意点まで解説!
カスタマーサクセス担当者が担う重要な役割の一つが、顧客の状態を把握し、解約率を減少させることです。しかし、大量の顧客の状態を詳細に把握することは、非常に困難です。そこで、重要となるのが「ヘルススコア」と呼ばれる指標です。ヘルススコアを活用することで対応すべき顧客が可視化され、効率的にサポートにつなげられるようになります。
この記事では、ヘルススコアとは何か、そしてなぜ重要なのかといった部分から、主な指標や課題・注意点まで解説します。
目次
- 顧客のヘルススコアとは?
- ヘルススコアを設定するメリット
- どのような指標をヘルススコアに設定すべきか
- ヘルススコアを利用する際の課題・注意点
- まとめ
1. 顧客のヘルススコアとは?
まず、ヘルススコアの概要を解説します。
ヘルススコアとは、文字通り顧客のサービス利用における健康状態を表す指標です。顧客が自社サービスを継続的に利用してくれるかどうかを、設定した複数の指標から数値化します。そして、ヘルススコアに閾値を定義し、その値を下回った顧客を優先的にサポートします。
2. ヘルススコアを設定するメリット
次に、ヘルススコアを設定するメリットを解説します。
解約の兆候をつかみ、事前にアクションを取れる
正しくヘルススコアが設定されていれば、顧客の行動の変化、特に解約の兆候がスコアに表れます。例えば、ログイン回数が減ってきた、利用アカウント数が減ってきたなどの状態の変化をそれぞれのログデータを確認することなく、スコアの変化のみで把握することができます。解約の兆候を察知するスピードが上がることで、顧客が解約に至る前に、利用に不明な点があるのか、利用方法に変化があったのか、などの理由を把握し、迅速に適切な対応をすることができます。
対応負荷を減らせる
カスタマーサクセスの担当者が限られたリソースの中で効果を上げるためには、効率的な対応が不可欠です。ヘルススコアを活用することでどの顧客が優先的に対応すべきか、逆にどの顧客がサポート不要なのかを同一の指標から判断できるようになります。したがって、対応負荷の軽減につながります。
アップセルやクロスセルのタイミングを掴める
ヘルススコアを活用することで、より金額の高いプランに乗り換えて貰うなどのアップセルや、自社の他製品・サービスも追加契約して貰うなどのクロスセルのチャンスを掴むこともできます。利用回数や利用人数が高くなってきた、参加したイベントの内容等から顧客が今何を求めているのかを理解できれば、より高機能なプランの提案を適切なタイミングで行えます。
3. どのような指標をヘルススコアに設定すべきか
上述した通り、カスタマーサクセスにおいてヘルススコアは重要な役割を持ちます。しかし、効果を上げるためには、自社の目的にあった適切な指標をスコアに組み込む必要があります。何が適切な指標かについては、企業の提供するサービス内容や形態によって異なりますが、一般的には以下のような指標が用いられています。
契約あたりのログイン回数、ログイン人数などの利用データ
契約あたりのログイン回数、ログイン人数などの利用データは、特に解約率との相関関係が高いと考えられる指標です。ログイン回数やログイン人数の減少からは、サービスの利用率の低下や社内への浸透がうまくいっていないことが予測できます。このような傾向が生じた場合は解約の兆候と捉え、迅速に対応を行うことが求められます。
NPS®️(Net Promotor Score)や顧客満足度データ
NPS®️とは、製品やサービスを友人や同僚に勧める可能性を11段階で評価して顧客ロイヤルティを測る指標です。NPS®️は顧客体験を評価する指標として用いられ、企業の業績との関連性が高いことがわかっています。
契約ライセンス数、利用人数、従量課金の利用料などのアカウントデータ
利用人数の増加や従量課金の利用料の増加は、単価は高くても顧客に対して適切なプランの提案を行うチャンスです。そのため、これらの指標は解約の兆候だけではなく、アップセルのタイミングを掴むためにも用いられます。また、顧客のアカウントデータは、他のヘルススコアの指標との相関関係を分析するためにも用いられます。
ウェビナー等のイベントへの参加データ
自社が開催するイベントへの参加率は、顧客の興味関心度を測ることができます。利用データ上は活用されていないように思われても、ウェビナー等で情報収集をしているか、していないかによって顧客との関係性の良好度は高い場合があります。また、同じ活用率でも積極的にイベントに参加していれば、今後の活用見込みはより高いと判断できます。
担当者とのコミュニケーション度合い
カスタマーサクセス担当者からのアプローチに対する反応や、顧客側からのアプローチの頻度、決裁権限者とコンタクトが取れているかどうか、などの状態も顧客と良好な関係が構築できているかを測るための重要な指標です。
4. ヘルススコアを利用する際の課題・注意点
一方で、ヘルススコアを利用する際には課題や注意点があります。
適切な指標を組み込む
最も重要かつ多くの企業で悩まれていることが、適切な指標とは何かを定義することです。目的に直結しないヘルススコアを算出しても成果に結びつくことはありません。まずは3章で解説した広く使われている指標から導入し、徐々に自社に最適な指標を定義していくと良いでしょう。
管理できる指標の数に留める、ツールを活用する
顧客のヘルススコアに関連する要素は複数存在します。しかし、あまりにも多くの指標を設定すると、手動での更新や管理の手間がかかりすぎてしまい、常に最適なスコアリングができなくなってしまいます。目的と照らし合わせ、手動で管理できる最低限の指標から始めるか、カスタマーサクセスツールを利用することがお勧めです。特に、事業が拡大傾向にあり顧客数が増加し、データ量が膨大になっている場合には、人の手で管理・指標を更新することは至難の業でしょう。CustomerCoreでは、今後AIによるデータ分析を実装予定です。AIを活用することで、労力を削減しつつ精度の高いヘルススコアの計測が可能になります。
客観的なデータだけで顧客の理解はできない
ヘルススコアは、顧客の利用状況の健康度を示す重要な指標ですが、最終的には顧客との実コミュニケーションを通して、リアルな状態を把握する必要があります。また、ヘルススコアは常に調整が必要なものであるため、絶対的なものではありません。ヘルススコアの精度を高めることは非常に重要ですが、カスタマーサクセス担当者のコミュニケーションとデータを活用したヘルススコアの両方が顧客との良好な関係構築に必要なことを忘れないようにしましょう。
5. まとめ
この記事では、ヘルススコアの基礎情報をお届けしました。カスタマーサクセスを成功させるには、ヘルススコアを活用してアプローチが必要な顧客とタイミングをスピーディに把握することが重要です。一方で、何をヘルススコアに設定すべきかは、業態やサービスによって異なります。また、活動を進めていく上で、取り入れるべき、外すべき項目も調整していく必要があるでしょう。そのためには、カスタマーサクセス業務を飛躍的に効率化するカスタマーサクセスツールの利用がおすすめです。