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「聞こえにくい」で疲労度増⁉︎電話の音声品質低下が引き起こす、深刻な影響とは【音声の専門家が解説】

「聞こえにくい」で疲労度増⁉︎電話の音声品質低下が引き起こす、深刻な影響とは【音声の専門家が解説】

在宅需要や電話業務の効率化などをきっかけに、さまざまな企業で導入が加速する「クラウドPBXサービス」。しかし、サービス自体の品質や利用環境などが要因で、「聞こえにくい」「声が途切れる」といった事象が発生し、業務に支障をきたすケースもあるそうです。 今回は、音声品質の低下がビジネス現場で、顧客・従業員・オペレーターにどのような影響を与えるのかを、株式会社リンク BIZTEL 事業部の三浦 康平と佐藤 優輝の2人が、音声の専門家である一般社団法人「声・脳・教育研究所」代表の山﨑 広子さんに詳しく伺いました。

クラウド型コールセンターシステム・クラウドPBX | BIZTEL(ビズテル)

クラウド型コールセンターシステム・クラウドPBX | BIZTEL(ビズテル)

オフィスの電話環境はもちろん、コールセンターシステム(CTI)やスマートフォンの内線化など、豊富な機能を提供するクラウドPBX「BIZTEL」。場所・設備・コスト・保守期限の制約に縛られることなく利用でき、変化し続けるビジネスに自由自在に対応できる電話サービスです。

1. 電話だからこそ音声品質に注意するべき理由

クラウドPBX市場の課題

三浦 クラウドPBXとは、従来オフィスに設置していた主装置(PBX)をクラウド上に設置し、インターネット経由で電話を利用するサービスです。昨今、コールセンターをはじめ、企業の電話システムをクラウド化する流れが加速しています。

リンクでは、クラウドPBXの黎明期にあたる2006年から「BIZTEL」というサービスを提供してきました。近年の需要増を背景に、クラウドPBX市場は多様化が進み、多くのサービスが登場しています。各社、さまざまな機能実装で差別化を図る一方で、電話として最も重要な「音声品質」への配慮が十分でないことから、声が遅れて聞こえたり、途切れてしまうサービスも存在します。
電話の音声品質が安定しない状況は、都度聞き返しが発生することから、働いている従業員・オペレーターの方々にとって、本来の業務以外の大きな負担になっているのではないかと懸念しています。実際、音声品質の低下がお客さまや従業員・オペレーターにどのような影響を与えているのか、そのメカニズムをいろいろと教えていただきたいです。
佐藤 今は、本当に多くのクラウドPBXサービスが存在していますが、三浦の言うように、機能面は充実していても、音声品質はあまり考慮されていないサービスがあることも事実です。実際、BIZTELで提供していない機能が備わっている別のサービスにリプレイスをしたお客さまが、音声品質が不安定で業務に支障が出ているからと、BIZTELを再導入した事例もあります。改めてお聞きしたいのですが、専門家である山﨑さんから見て、電話における音声品質はどのような影響を与えるのでしょうか。

音声品質の低下が引き起こす「認知負荷」と「不信感」

山﨑 話したことを相手から聞き返されたり、相づちや返事に時差があったりすると、ちゃんと伝わっているのか不安になりますよね。でも、もし顔が見えている状態であれば、そこまで不安は感じないはずです。
というのも、人間は「視覚」が優位な生き物なので、話を理解する時も、耳から入ってくる音だけで判断しているのではなく、目から入る情報にも大きな影響を受けています。
人間は、視覚と聴覚で補い合って相手を理解しようとしているんです。

しかし、電話のように音声だけという限られた情報から認知(理解)をしようとする場面で、聞こえない、聞き取ってもらえない状況が発生すると、「認知負荷(※1)」が増大してしまいます。その結果、脳のエネルギー消費が高まり、疲労やストレスを招く恐れがあります。

※1 脳のワーキングメモリ(作業記憶)が、情報を処理する時にかかる負担のこと。情報が多すぎたり、複雑すぎたりすると、認知負荷が高まります。認知負荷が高まると、本来集中すべき作業に使える脳のリソースが奪われ、作業の効率が下がる場合があります。
佐藤 私もよく、お客さまに電話をかけますが、Web会議などで相手の顔を見ながら話す方が、お客さまが話す内容を理解しやすいし、こちらの話も伝えやすいと感じますね。
山﨑 人間にとっては顔を見ながら話す方が自然なことなのですが、電話のように音声だけで相手に思いを伝え、理解してもらわなければならない場合もあります。これは人間にとって、すごく難しいことなんです。

また、人間は音声だけで信頼できる人間かどうかを瞬間的に判断しています。それも、わずか1〜2秒でできることが研究から分かっています。
1〜2秒で相手への信頼感が決まってしまう場面で、電話の音声が聞こえづらい、何度も用件を聞き返しているなんてことがあったら、当然信頼を得ることはできません。

他にも、コールセンターで働いているオペレーターの場合であれば、その会社の信頼を背負って仕事しているのに、電話の音声品質が悪く、話が伝わらず、お客さまに不便をかけてしまったということが起こると、心理的な負担につながってしまう可能性もあります。また、不便を感じたお客さまが、会社に対して不信感を抱く可能性もあるので、やはり電話の音声品質は気を配るべきポイントだと考えられます。

2.ビジネスの現場に与える深刻な影響

聞き取りづらい不安が生む「悪循環」

三浦 音声が聞こえづらかったり、途切れたり、遅れて聞こえたりする状況では、オペレーターも安心して電話応対ができないと思います。不安な状態で電話応対をすると、どのような影響があるのでしょうか。
山﨑 不安感があると、脳の中ではストレス反応が起きています。ストレス反応は自律神経系に影響するので、心拍数が速くなったり、呼吸が不安定になったりします。その影響は声にも表れて、普段よりもちょっと甲高く硬い声になります。緊張したときに声がうわずってしまったという経験は、皆さんもありますよね。さらに、その状態が続いてしまうと自己肯定感が削られることにもつながってしまいます。

他にも、音声品質が悪く相手に自分の声を聞き取ってもらえない場合、無意識に声を張り上げてしまうこともあるかと思います。この時出す声は、聞いている側が非常に不快だと感じる、高めで圧の強い声になってしまいます。これにより、相手をイライラさせてしまう可能性もあるので、オペレーターの話す環境を整えることは最低条件だと思います。
三浦 オペレーターが感じる不安や、通話のコミュニケーションエラーは、こんなにも悪い影響につながってしまうんですね。

音声品質が疲労度に影響するメカニズム

山﨑 音声品質の低下は、オペレーターのパフォーマンスにも直結します。これは私たちの脳における音声理解のメカニズムと深く関係しています。
耳から入った音声は、まず側頭葉の一次聴覚野で処理され、言語として分析されたのち、前頭前野に送られて文脈や記憶、思考と結び付けられます。前頭前野には情報を一時的に保持し、操作するワーキングメモリがあり、通常は業務判断や会話内容の理解などに使われています。
しかし、音声が聞き取りにくかったり、途切れて届いたりすると、聞き取ることに多くのリソースを割かれてしまい、本来集中すべき業務処理が後回しになります。つまり、音声品質の悪い環境では、脳が本来の仕事に使える余力を失ってしまうのです。

最近、発表された論文によると、海外のコールセンターにおける実験で、音声品質の悪い環境は従業員の聴取努力(※2)を30%増加させるという結果が報告されています。これは、疲労度の増加にもつながるものです。

※2 音声が聞き取りにくい状況下で、集中して内容を理解しようとする際に生じる負荷のこと。
三浦 コールセンターの業務は本当に複雑で、電話応対も用件によって難易度が変わります。さらに、応対以外にも事務作業をこなしたり、新商品やサービスが登場すれば、その知識を身につけるための勉強も必要になるため、負荷がとても大きいです。音声品質の低下が招く、疲労度30%増という余計な負担は発生しない環境にしたいですね。
山﨑 この結果は、あくまでも音声が聞き取りづらい状況下で報告された数値です。これにプラスして、お客さまと円滑なコミュニケーションが取れずに怒鳴られる、途中で電話を切られるといったストレスが重なると、自己肯定感ややる気の低下など、精神的なダメージが積み重なり、さらに疲労度が増すと考えられます。
三浦 コールセンター業界では、20年ほど前からオペレーターの離職率の高さが問題になっています。これから先、日本国内の労働人口がどんどん減っていくなかで、オペレーターの採用も、ますます難しくなると思います。
クラウドPBXサービスを提供する側として、この課題を少しでも解決に近づけられるよう、オペレーターが余計なストレスを感じることなく、仕事ができる環境を整えていきたいと改めて感じました。

3. AI時代の今こそ価値になる「人の声」

佐藤 最近ですと、AIによる自動応答サービスを活用する企業も増えていますが、AIが生成する音声などに対し、山﨑さんはどのようにお考えでしょうか。
山﨑 AIを活用して生成した音声はすごく明瞭になってきています。情報を伝えるだけであれば、非常に便利なため、活用場面は増えていくはずです。一方で、人が発する音声の価値は何かというと、やはり温かさや人間味だと思います。今後は間違いなく、人の肉声にこそ価値が出てくると考えています。

実は、電話で話すときの声は少し高めな、いわゆる“よそ行きの声”が良いという風潮がありますが、低めの声の方が相手に信頼感を与えるという研究結果が出ているんです。機械音声もやや高めな声のケースが多いですが、高い声は相手に安心感よりも不快感を与えることが報告されています。ビジネスにおいては「この会社は信用できないな」という印象にもつながってしまうのです。
佐藤 営業担当者は、電話だけでなく対面でもお客さまと話す機会が多いのですが、そういったとき、「えーと」や「あのー」というつなぎ言葉(フィラー)を言わない方が良い印象を与えたりするんでしょうか。
山﨑 言い淀みなく、かつ高い作り声で話された内容はあまり記憶に残らないんです。人間味のある話し方、つまり噛んだり、言い間違いをしたりしても、低く落ち着いた声で話す方が、相手にその人らしさが伝わるだけでなく、信頼感を与え、印象にも残りやすくなります。また、適度な抑揚も重要です。抑揚がある方が、相手に思いや感情が伝わりやすくなります。

今後は、定型的な案内のように誰が話しても問題ない内容はAIに任せて、お客さまに寄り添い信頼感を与えたい場面では人の声が大事にされる。そういう時代になっていくと思います。

おわりに

山﨑 色々なお話をしましたが、「音」は人間の脳に大きな影響を与えます。それは、電話においても同じことです。「聞こえない」「伝わらない」は、従業員やオペレーター、お客さま双方のストレスにつながり、企業への不信感につながってしまいます。

音声品質の良い電話システムを使うことが、オペレーターとお客さまの負担を軽減し、円滑なコミュニケーションによる信頼感の創出もできると思います。電話の音声品質は、私たち音声の専門家から見てもすごく重要なポイントです。今後、BIZTELを広めていくうえで、音声品質の重要性はしっかりとアピールしてほしいです。
佐藤 ありがとうございます。「音声品質」は、さまざまな視点から見ても重要なポイントだと改めて分かりました。これからは、音声品質がなぜ重要なのかということに加え、我々が長年こだわってきたBIZTELの音声品質の良さをお客さまに伝えていきたいです。
三浦 これまでは、オペレーターの業務上のストレスはお客さまとのコミュニケーションから生まれるものという認識で語られることが多かったですが、電話の音声品質が脳や身体に大きな影響を与えているというお話は、とても勉強になりました。本日は、ありがとうございました。

次回予告

妥協なき「音声品質」へのこだわり。インフラチームが語るBIZTELの裏側

今回の記事では、電話の音声品質がどのような影響を与え、現場やお客さまにとってどれほど重要であるかを示唆しました。「音声品質」は、コミュニケーションの質を左右するからこそ、一切の妥協が許されません。

では、その理想的な音声品質を、BIZTELはどのようにして実現しているのでしょうか。その核心に迫るべく、システムの心臓部を支えるインフラチームへの取材を実施しました。

技術者たちが語る、安定稼働と高品質を両立させるための徹底したこだわり。次回は、その「裏側」を詳しくお届けします。どうぞお楽しみに!

クラウド型コールセンターシステム・クラウドPBX | BIZTEL(ビズテル)

クラウド型コールセンターシステム・クラウドPBX | BIZTEL(ビズテル)

オフィスの電話環境はもちろん、コールセンターシステム(CTI)やスマートフォンの内線化など、豊富な機能を提供するクラウドPBX「BIZTEL」。場所・設備・コスト・保守期限の制約に縛られることなく利用でき、変化し続けるビジネスに自由自在に対応できる電話サービスです。

一般社団法人「声・脳・教育研究所」代表<br>
山﨑広子

一般社団法人「声・脳・教育研究所」代表
山﨑広子

国立音楽大学卒業後、複数の大学にて心理学および音声学を学ぶ。音楽ジャーナリスト・ライターとして音の現場を取材するとともに、音声が心身に与える影響を認知心理学をベースに研究。脳と声の関わりから導き出した「オーセンティック・ヴォイス」を提唱。2017年NHKラジオ「人生を変える『声』の力」の講師を務める。主な著書に『
8割の人は自分の声が嫌い』(角川新書)、『声のサイエンス』(NHK出版新書)がある。
https://www.yamazakihiroko.com/

株式会社リンク<br>
BIZTEL事業部 マーケティングチーム サブマネージャー<br>
三浦康平

株式会社リンク
BIZTEL事業部 マーケティングチーム サブマネージャー
三浦康平

銀行のコールセンターでSV、出版社が運営するビジネススクールでカスタマーサポートを担当。現在は、リンクでクラウド型PBX「BIZTEL」、コールセンター特化のeラーニング・教育管理サービス「BIZTEL shouin」のマーケティングに従事。また、2,000名以上のコールセンター関係者が学習するオンラインスクール「BIZTEL大学」を企画・運営。

株式会社リンク<br>
BIZTEL事業部 営業チーム サブマネージャー<br>
佐藤 優輝

株式会社リンク
BIZTEL事業部 営業チーム サブマネージャー
佐藤 優輝

クラウド型PBX「BIZTEL 」の営業活動を通じ、大手通信事業者のコンタクトセンター開設や、200席超の大規模センターを構築するプロジェクトの遂行など、100社以上の電話応対業務を支援。2021年からはその経験を活かして「BIZTEL shouin」のサービス立ち上げを担い、教育面でも電話応対の現場をサポートしている。