icon

「最適なサービスで一歩先行く組織へ」ビジネスに伴走する課題解決メディアCHECK!

なぜIT企業が療育支援を行うのか?サービスを運営する3社が語る想いとは

なぜIT企業が療育支援を行うのか?サービスを運営する3社が語る想いとは

療育を「もっと身近に、もっと自由に、もっと楽しく」がコンセプトのデジタルコンテンツサービス「いろみ~な」。運営するのは、システム運用のワンスタッド株式会社、ITサービス運用の株式会社リンク、システム開発の株式会社フォーミックスのIT企業3社。 対面が基本とされる療育分野に、なぜ療育とはまったく別事業を行うIT企業が共同で参入し、支援サービスに取り組むのでしょうか。 ワンスタッド株式会社の代表取締役でありサービスの企画者でもある山本誠一郎、株式会社リンクの内木場健太郎、株式会社フォーミックスの取締役 COOである中栄進さんの3名が、デジタルを得意とする3社が集まるからこそ実現する療育支援のカタチやサービス運営への想い、今後の展望について語ります。

▼今回ご紹介するサービスはこちら

トップページ | いろみ~な

トップページ | いろみ~な

「いろみ〜な」は、障がいのあるお子さまと その家族が取り組む療育を「もっと身近に、もっと自由に、もっと楽しく」 というコンセプトをもとに つくられたサービスです。

IT企業3社から見た療育の現場とは?

―まず、「いろみ~な」とはどのようなサービスなのでしょうか。
山本 「いろみ~な」は、全国どこからでも利用可能なデジタルコンテンツ療育サービスです。療育に関する動画コンテンツの配信をメインに、有益な情報の発信、コミュニティの提供などを行っています。

企画者は私で、自身もダウン症の子どもをもつ親であったため、このサービスを立ち上げようと思いました。「いろみ~な」というサービス名は「いろんなみんな」という語感からはじまっており、「いろんな個性があっていいんだよ」「いろいろな子どもたちみんながここに集まってほしい」という想いを込めています。
―リンクとしては、教育事業とは一見関連がないように見えますが、どのようなきっかけで療育を支援するサービスを立ち上げようと思ったのですか。
山本 大きなきっかけは、私自身が当事者だったから。障がいをもつ子どもを育てていく中で、私にも何か取り組めることはないだろうかと考えるようになりました。

この想いが強くなったのは、新型コロナウイルスが蔓延しはじめた頃です。療育は対面が基本なのですが、障がいをもつ子どもにとってコロナに感染することはハイリスク。そのため、対面での療育ができなくなってしまいました。

このような状況を受け、対面での療育の重要性を実感するとともに、対面以外でも療育の場があればと強く感じるようになりました。他にも、コロナ前から療育を必要としているのに「支援施設が近くにない」「定員の関係で入れない」「施設を利用する一歩が踏み出せない」といった悩みを抱える人が多いことも気になっていました。

対面+αの療育支援があれば、環境による療育の質や量の差を埋めることができるのではないか、環境などに左右されないITで療育支援をより良いものにできるのでないか、と考えるようになりました。

また、リンクの代表岡田が社員のボランティア活動に対して支援している姿を見ていたことも、サービス立ち上げを決意できた理由の1つです。私が代表を務めるワンスタッドの主な事業はリンクが提供しているサービスのシステム保守で、リンクの中のサポート部がワンスタッドという位置づけです。ワンスタッドのメンバーはリンクにも所属しており、社員の企画や想いに対して会社が支援するという環境・文化を共有しています。

加えて、サービスの実現に必要な事業を展開する3社が協力し合える関係性だったのも大きいですね。
―なぜワンスタッド、リンク、フォーミックスの3社が共同で「いろみ~な」を運営することになったのですか。
中栄 フォーミックスはリンクさんと20年以上のお付き合いがあります。コンピュータの監視・運用系のサービスを2016年に弊社内で立ち上げ、リンクさんのサービスに活用してもらった際に山本さんと出会い、家庭事情も知りました。

サービスを立ち上げたいと聞いたとき、療育に関して全くの素人ですが、ぜひサポートさせてほしいと伝えました。弊社はシステム開発のプロなのでITサービスの運用を支えるリンクさんとはシナジー効果があると考えています。
内木場 以前より障がいのある人や困りごとを抱える人に対して、何か役に立つ仕事をしたいという漠然とした想いを抱いていました。療育についての知識はまったくなかったのですが、自分も学びながら理解していきたいので、協力させてほしいと伝えました。

企画が進み、山本の話や困りごとを抱えている人の課題を聞くに連れて、ITをうまく使うことで解決につながるのではないかというイメージができてきました。リンクとしては、どういった人にどう伝えていくべきなのか、企画のベースやマーケティング面でのアドバイスができると考えています。
山本 たまたま役割の違う3社に、こうやって個人的に親しい間柄の人がいたことが大きいですね。プレイヤーが揃っているので、3社が集まればスムーズにサービスがスタートできるのも後押しになりました。また、サービスを立ち上げるとなると初期投資が必要になるのですが、3社が共同で運営することで内製化でき、費用面のハードルもクリアできました。

コンテンツを提供してくれる事業者さんに対して、しっかりと報酬を支払いたかったからというのも、初期費用を抑えたかった理由の1つです。当事者として、療育をボランティアにしたくないという気持ちがあって……。コンテンツ制作の苦労や努力に、きちんと対価を支払うサービスにしたいと思っています。
―「いろみ~な」の運営で、3社がそれぞれ重視していることを教えてください。
山本 自分の想いは伝えつつ、3社それぞれの意見・立場を尊重するよう意識しています。当事者ということもあり、自分の想いが強くなり過ぎて先走りそうになることがあるので。また3社の意見はもちろん、コンテンツを提供してくれる事業者さんの意見やアドバイスもバランス良く取り入れ、チームが良い関係になるよう心掛けています。
中栄 熱い想いがあるので、いつも打ち合わせは盛り上がりますよね。私としては、当事者ではないところから、どこまで山本さんの想いに近づけるかということを重視しています。

療育の知識がなかったので、実際に山本さんの想いや大変さに近づけたと感じたのは、サイトのデザインやロゴを考える段階でした。リンクさんとワンスタッドさんの意見を聞きながら、弊社のデザイナーが中心となってサイトのロゴ・トンマナを決めていくなかで、自分の中のサービスに対するイメージも明確になっていきました。

多少時間はかかりましたが、山本さんの想いに近づくための良い時間だったと感じています。
内木場 中栄さんが提案してくださるサイトを見ていくうち、私たちもどんどんイメージが具体的になっていったように思います。

私はマーケティングの立場から、療育を必要としている人の実態と課題ニーズに即したサービスになるよう心掛けています。

昨今は、悩みや困りごとに対して「スマホ(Web)で調べる」という人がほとんどだと思います。Web上にはさまざまな情報がありますが、それはどれも断片的で……。情報が1本にまとまった書籍とは重みが違うなと感じます。

「いろみ~な」のサイトは、情報がまとまった書籍や辞書のような存在にしたいと思っています。正しい情報が得られる安心感を利用者に与えるサービスにしていきたいです。

療育をひとりでも多くの人に

―立場の異なるみなさんの意見をもとに、いまのサービスができあがっていったのですね。では、「いろみ~な」をどのように利用してほしいですか?
山本 療育において、オンライン上の「辞書」のような存在として利用してほしいと考えています。
1つの言葉にいろんな解釈があるように、療育も1つの困りごとを解決するためのやり方が複数あります。確立された方法というものはなく、子どもとの相性もあるので、1つのテーマに対していろんなやり方を幅広く紹介し、利用者がさまざまなコンテンツを試せるようにしたいと思っています。

また、コンテンツを提供してくれる事業者さん同士のつながりや事業者さんにとっての学びにも利用してもらえると嬉しいです。それぞれの療育施設の取り組み方に関するコンテンツを共有し合うことで、療育現場の質のアップにつながるのではと考えています。
内木場 そうですね、私は療育をトライしてみる最初のきっかけとして使ってもらえると嬉しいです。療育は、その子に合った方法で、できる限り早くトライすることが大切であるといわれています。しかし、そういった機会を用意するにも環境、時間、費用などの面で制約があります。「あのとき、こうしていれば……」と後悔しないためにも、「いろみ~な」を活用してほしいですね。
中栄 私は、療育のプラットフォームとして利用してもらいたいです。目指しているのは、コンテンツを楽しみ、計画的に実行できるプラットフォーム。

そのために、メインの動画はもちろん、言語化されたコンテンツやコミュニティにも力を入れていきたいと考えています。今後はお出かけ情報や療育グッズなどのコンテンツも増えていく予定です。

また利用者が計画的に療育を進められるよう、「ここから始めて次はこのステップ、その次は~」といった流れをイメージしやすいサイトづくりも意識していきたいです。
―配信しているコンテンツ動画はどのような内容が多いですか。
山本 日々の悩みや困りごとに関する対応を、3分前後でまとめている動画が多いです。Q&Aといった感じで、困ったときにさっと見られる内容を意識しています。また、より詳しく学びたい人向けに15分程度の動画も提供し、どの様な対策があるか?だけではなく、なぜその困りごとが起きるのかといった内容も増やしたいと考えています。

その他、療育施設・先生の紹介動画もあるので、施設選びに役立ててもらえればと思います。
―「いろみ~な」のサービスサイトデザインでこだわったことはありますか。
中栄 サイトデザインは弊社がメインで関わっています。とにかく見やすさ、利用しやすさを重視していますね。背景など外観もできる限りシンプルに。そこに寄り添うような温かみや親しみやすさが感じられるデザインを加えています。
内木場 みなさんがアクセスしたときに温かさを感じていただけると嬉しいですね。
―「いろみ~な」をどのような方に利用してもらいたいですか?
山本 子どもの障がいに悩む保護者さんはもちろん、特徴のある子どもの子育てに悩む保護者さんにも利用してもらえたら嬉しいです。
既に療育施設に通っているけれども、他の療育施設がどのようなことをしているのか知りたい、見てみたいという方が、セカンドオピニオンとして活用してもらうことも想定しています。

また教育現場で働く先生や放課後デイサービスの職員さんなど、子どもと深く関わる人にも利用してもらえると嬉しいです。
―最後に、「いろみ~な」の今後の展望を教えていただけますか。
山本 療育において対面が重要であることは変わらないので、私たちのサービスは対面とは違う場所として存在していきたいと考えています。オンライン・オフラインの使い分けをしながら、利用者が集える場はもちろん、コンテンツを提供してくれる事業者さん同士もつながれる場にできたらと思っています。

子どもたちの特性は本当にさまざまで、障がいの名が付く子どももいれば、障がいの名は付かないけれども困りごとを抱えている子どももいます。こういった子どもたちが、多様性の社会の中でしっかりと認められていく存在になってほしいと願っています。「いろみ~な」もそんな子どもたちの未来のためのサービスになれれば嬉しいです。
中栄 「未来のためのサービス」というのは本当にそうですよね。私としては、プラットフォームの成長を通じて、業界自体の地位を上げていくこともできたら、と考えています。

SNSでのコミュニティを形成してサイトと連携したり、スマホなどのデバイスに対して使いやすいプラットフォームにしたりといったシステム面でのサポートを行っていきたいです。また利用者が適切なコンテンツを取捨選択できるよう、データを蓄積・整理することも重要ですね。
内木場 本当に必要としている人に届く、社会的にも意義のあるサービスを目指したいと思っています。

まだスタートしたばかりのサービスなので、利用者が本当に求めているものは何なのかをもっと理解し、機能、コンテンツの両面で充実させていく必要があります。私たちだけでは視野が狭くなるので、サービスを必要としている人ともっと対話していければと思っています。ぜひ、サイトにアクセスしていただき、みなさんのご意見を聞かせていただけると嬉しいです。

トップページ | いろみ~な

トップページ | いろみ~な

「いろみ〜な」は、障がいのあるお子さまと その家族が取り組む療育を「もっと身近に、もっと自由に、もっと楽しく」 というコンセプトをもとに つくられたサービスです。

株式会社フォーミックス 取締役 COO<br>
中栄進

株式会社フォーミックス 取締役 COO
中栄進

メーカー系のシステム会社から2004年独立してフォーミックスを創業。Web系システムの開発業務を中心に、デザイン・プランニング等のクリエイティブ業務からECサイトの構築・運用まで、お客様のビジネスの成功に寄り添うことをモットーに幅広いサービスを提供している。

ワンスタッド株式会社 代表取締役 兼 株式会社リンク サポート部 部長<br>
山本誠一郎

ワンスタッド株式会社 代表取締役 兼 株式会社リンク サポート部 部長
山本誠一郎

インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。MSP(マネージド・サービス・プロバイダ)、システムインテグレーション、コンサルティングなどの経験を経て、2014年に株式会社リンクへ参画。自社サービスとなるリンク ベアメタルクラウド、サポートサービスの立ち上げに携わる。インフラや運用に関する幅広い知識と経験をもとに、自社サービスやお客さまシステムの安定稼働を支援している。

株式会社リンク マーケティング事業部 事業部長<br>
内木場 健太郎

株式会社リンク マーケティング事業部 事業部長
内木場 健太郎

クリエイティブ業務からキャリアをスタート。広報宣伝部門、マーケティング部門の立ち上げ、ホスティング事業責任者を経て2019年よりカスタマーサクセス支援システム「Customer Core」の事業開発を担当。サブスク型/ストック型ビジネスの20年以上の経験をもとに、さまざまなBtoB企業のカスタマーサクセス活動の効率化を支援している。