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デジタルで療育現場はどう変わる? 「いろみ~な」が提案する新たな支援のカタチ

デジタルで療育現場はどう変わる? 「いろみ~な」が提案する新たな支援のカタチ

療育とは子どもの発達や特性に応じて、困りごとの解決や自立を目指す支援のこと。障がい特性や障がいの可能性をもつ子どもを対象にすることが多く、発達支援とも呼ばれます。 対面を基本とする療育分野において、デジタルコンテンツ療育サービス「いろみ~な」はどのように活かされていくのでしょうか。 サービスの発案者である山本誠一郎(ワンスタッド株式会社・株式会社リンク)と、動画コンテンツを提供しているコプラスの代表・川口博史さん、児童発達支援管理責任者・河内山冴さんが、療育現場の現状や「いろみ~な」が療育現場に与える影響を語ります。

▼今回ご紹介するサービスはこちら

いろみ〜な

いろみ〜な

「いろみ〜な」は 障がいのある子どもたちとその家族が取り組む療育を「もっと身近に、もっと自由に、もっと楽しく」というコンセプトをもとにつくられたサービスです。

現場から見たデジタルコンテンツ療育サービス

―まずコプラスではどういった支援を行っているのでしょうか。
川口 障害児通所支援事業所、相談支援事業所の運営、保育所等訪問支援を行っており、来年度からは大人向けの就労継続支援事業所もスタートする予定です。国からの補助金により運営している民間の企業で、東京都の指定事業にあたります。
河内山 障害児通所支援では、未就学児向けの児童発達支援と、小学生から高校3年生までの就学児を対象とした放課後等デイサービスを行っています。1対1または1対2の個別指導と5~6名の小集団によるグループ療育を行っており、机上課題を中心に、社会的マナーや相手との関わりなどを学ぶSST(ソーシャルスキルトレーニング)、運動など子どもに合わせた課題も実施しています。現在、東京都品川区に3教室あり、全体で1日60人程度の子どもたちが通所しています。
―おふたりが療育に興味をもったきっかけや、コプラスを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
川口 療育に携わる仕事をしていた河内山の話を聞いたのがきっかけです。

私と河内山はもともと、学習塾のエリアマネージャーと大学生アルバイト講師という関係性でした。その後少し期間が空きましたが、河内山が放課後等デイサービス(障害児通所支援事業所)で働いているときに再会し、声をかけてもらいました。それまで療育の存在を知らなかったのですが、河内山から療育に対する想いを聞き興味をもちました。
河内山 私が療育や障がいをもつ人の支援を仕事にしたいと考えたのは、高校生のときのボランティアがきっかけです。

当初、老人ホームでのボランティアを希望して申し込みをしたのですが、私の手違いで障害者入所施設へ行くことになりました。そのため、偶然そこで初めて障がいをもつ方と関わったのですが、みなさん本当に楽しそうで。その姿を見て、「私がやりたいことはこれだ」と思い、将来は障がいをもつ人と関わる仕事をしたいと考え、進路も決めました。
―コプラスで働く職員は、どのように療育や支援について学んでいるのでしょうか?
河内山 新人職員に対しては研修制度も設けていますが、実際に先輩職員の支援の様子を見ながら学んでいく部分が多いです。支援の前後で、個別支援計画や子どもの状況に沿った目標や課題、声掛けの意図を伝えています。

また、保護者へのフィードバックも先輩職員の姿を見て学びます。保護者への関わり方や関係性の築き方も重要だと考えているので、さまざまなパターンを知ってほしいと思っています。さらに既存の職員も支援方法の共有、ケース会議の実施、本や論文からの学びなどを通して、常により良い支援を考えています。
―「いろみ~な」の存在を知ったきっかけや、動画コンテンツの提供をはじめた経緯を教えてください。
川口 私は以前、学習塾で働いていたのですが、そのとき担当していた生徒の保護者がリンクさんの社員だったんです。その後もたまたま連絡を取り合う機会があり、現在は障害者通所支援の仕事に携わっていると話したところ、社内にデジタル療育支援サービスをはじめた社員がいると紹介されたのが山本さんでした。

動画コンテンツ提供の話をもらったとき、既に事業所紹介などの動画配信をしていたので、私を含めメンバーみんな動画制作に対する抵抗がありませんでした。20〜30代のメンバーなので勢いがあり、動画コンテンツ提供に対してもやる気でしたね。

療育メソッドに関する動画はそれまで制作したことがなかったので、新たなチャレンジになりますが、みんな前向きに取り組もうという想いでした。
山本 川口さんを紹介してもらう前にも、いろいろな事業所や福祉に関する専門学校などの担当者に「いろみ~な」への想いやアイディアを話してきましたが、良い返事をもらえない状態が1年以上続いていました。

ですので、コプラスさんが動画コンテンツの提供に参加してくれたことは本当に大きな前進でしたね。「いろみ~な」をスタートさせたばかりで方向性の迷いもあったため、その相談にものってもらいました。私たちができることは環境づくりのみ、当事者・事業者がいないと動き出すことができないと実感しました。
―コプラスさんの参加は「いろみ~な」にとって大きな一歩だったのですね。おふたりはどういったところに共感し参加を決めたのですか?
河内山 障がいのある・なしに関わらず気軽に利用できるサービスにしたい、という想いに共感しました。

療育は特別なもの、敷居の高いものと感じている方はまだまだ多いと思います。子どもの困りごとや悩みに関する動画を気軽に閲覧できる「いろみ〜な」のようなサービスがあれば、療育は特別なものではないと広く知ってもらえるのではないかと感じています。

また、環境などに左右されないデジタルコンテンツサービスなので、より多くの人に支援が行き渡る点も魅力だと思います。療育に通いたくても近くに事業所がない、受け入れ枠が足りず入所できない、来所の一歩が踏み出せないなどの悩みを抱えている保護者のサポートになるのではないでしょうか。

コプラスとしても直接療育を提供できる子どもの人数には限界があるため、私たちの支援内容や療育に興味をもってくれた方への支援のきっかけになるのが嬉しいです。
―動画コンテンツの制作・提供において意識していることはありますか?
河内山 障がいのある・なしに関わらず役に立つ、困りごと解決のヒントになるようなテーマを意識しています。対面療育で関わる保護者や、巡回指導で関わる幼稚園・保育園の先生によく質問されることなどをテーマにすることも多いです。ニーズに即したテーマを選ぶことで、多くの人の悩み解決につながるのではないかと考えています。

療育と聞くと障がいのある子ども向けのものだと思う方もいらっしゃいますが、障がいのある・なしに関わらず、もっと身近に感じてほしいです。子どもが発達していくうえでのヒントや、保護者の何気ない疑問や不安の解消になる動画を目指しています。

一部では専門的なテーマも扱い、より深く学びたい人にもアプローチしています。
川口 提供する動画の大まかな方向性は基本的に私が決め、チームメンバーの特性、専門性に合わせて振り分けています。持っている資格や経歴が活かせるかどうかも見ていますね。

気軽に見てもらえるよう、動画の雰囲気はフレンドリーさを意識しています。子どもたちや保護者を目の前にしているイメージで、親しみやすい表現を心掛けています。
―動画コンテンツの制作にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
河内山 コプラスでは、台本作成から撮影、編集まで行っており、約3分間の動画が多いです。私は約3分間の動画の場合、台本5本で20分、撮影5本で20分ぐらいかかります。他のメンバーも含めると、撮影1本につき10分程度が平均です。編集は専任のメンバーが担当しており、10本で約1時間半程度かかるとのこと。コプラスでの通常業務後に撮影・編集しています。
山本 動画の編集については、コプラスさんのように動画コンテンツ提供側の事業者に編集までしてもらうパターンと、編集は弊社内で行うパターンがあります。

事業者に編集してもらう場合は、ロゴや雰囲気を「いろみ〜な」のサイトに合わせてもらっています。編集が難しい事業者や個人で活動されている方には、動画を送ってもらって弊社内で編集し、チェック後に配信しています。

動画編集スキルに自信のない事業者や個人でも、伝えたいノウハウがあれば、ぜひ動画コンテンツ提供に参加してもらえると嬉しいです。

デジタルコンテンツサービスで療育を支援するメリットとは?

―「いろみ~な」を使うことは、利用者にとってどのようなメリットがありますか。
山本 利用者である保護者が療育を選べる環境づくりになると考えています。

療育では1つの困りごとに対して、アプローチが複数存在します。これは療育支援を行う事業者にも当てはまり、事業者が異なればアプローチが異なることもあります。もちろん、資格や経験のある職員や事業者が提唱するアプローチなのでどれも正解ですが、子どもとの相性はあると考えています。

大切なのは保護者が1つの困りごとや悩みに対して、複数のアプローチを試せること。「いろみ〜な」がその環境づくりになればと思っています。特定の事業所に通っていると、選択肢が1つになってしまうケースや、違うアプローチを試してみたいと思っても先生に遠慮して言い出せないケースがあると聞きます。「いろみ~な」がさまざまな選択肢があることを知るきっかけになってくれたら嬉しいです。
川口 1つの問題に切り口が複数あるという点には、大変共感します。コプラスは机上課題がメインなのですが、同じ療育業界でも、例えば音楽療法や運動療法などさまざまな切り口やメソッドがあります。そのため、いろいろな事業所の環境ややり方を知り、参考にしたいという気持ちを常にもっています。

特に動画であれば、どんなことをしているのか視覚的にわかりやすいのも良いですね。動画を通していろんな事業所を知ることは横のつながり・学びにもなりますし、保護者としても施設・事業所選びに役立つのではないかと思います。
―「いろみ~な」に動画コンテンツを提供することで、事業者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
山本 それぞれの事業所の紹介やアピールとして利用してもらえると思います。また他の事業者がもつメソッドや知識を学べる点もメリットです。提供する側にも学ぶ側にもなれる、事業者同士がつながれるプラットフォームを目指しています。

動画コンテンツが充実すれば、オンライン上の研修資料としても活用してもらえると思います。動画なので、理解しやすい点もメリットです。さまざまなメソッドや知識を学び、それぞれの現場で活用することで、当事者である子どもたちや保護者にとってより良い環境をつくってもらえたらと思っています。

また、動画コンテンツの提供に報酬をお支払いしているのも「いろみ~な」の特徴です。療育に関するメソッドや知識の保存プラットフォームとして活用しつつ、収益化もできるのは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
川口 コプラスは国からの補助金 で運営しているため、「いろみ~な」の動画コンテンツ制作は「副業」という扱いにしています。補助金を受け取っている 企業・団体の職員は週に1人あたり32時間以上、事業所で働くことが定められていますが、その他の時間であれば副業などで報酬を得ても良いことになっています。

副業として報酬が発生する点については、動画制作に関わるメンバーにも好評です。福祉業界全体が低賃金になりがちという問題もあるので、そこに少しでも風穴を開けたいという山本さんの想いも響きました。
―今後、どのような人・事業者と「いろみ~な」のサービスをつくっていきたいですか?
山本 療育の現場を大事にしている方、現場に対して想いのある方にぜひ参加してもらいたいです。

「いろみ~な」では利用者と事業者の循環も大切にしています。そのため、療育コンテンツを提供する事業者に利用者が報酬を支払い、事業者はその報酬を得てさらに質の高いコンテンツを生み出すといった循環・仕組みに共感してくれる方に協力してもらいたいと考えています。

また「いろみ~な」にはさまざまな事業者が参加しているので、同じテーマに対して異なる意見が出てくることもあります。そういった自分たちとは異なる意見を多様性として認め合える方、意見の違いを利用者の選択肢が増えることとして捉えられる寛容さをもつ方と一緒に、より良いサービスをつくれれば嬉しいです。

いろみ〜な

いろみ〜な

「いろみ〜な」は 障がいのある子どもたちとその家族が取り組む療育を「もっと身近に、もっと自由に、もっと楽しく」というコンセプトをもとにつくられたサービスです。

コプラス

コプラス

東京都指定障害児通所施設|児童発達支援・放課後等デイサービス 集団療育と個別療育のハイブリット授業を展開。ABA(応用行動分析学)を基礎とした専門性の高い療育を行っています。

児童発達支援・放課後等デイサービス 代表<br>
川口博史

児童発達支援・放課後等デイサービス 代表
川口博史

国立東京学芸大学 教育学部 国際理解教育課程 国際教育専攻卒業。
学習塾運営企業2社を経て、学習塾事業と教育コンサルティング事業を展開中。河内山と出会い、療育の道に踏み込む。

児童発達支援管理責任者<br>
河内山冴

児童発達支援管理責任者
河内山冴

国立筑波大学大学院 人間総合科学研究科 障害科学専攻 博士前期課程卒業。
在学中より、教育分野に従事し、指導実績を積む。
職歴:学習塾講師、児童発達支援・放課後等デイサービス指導員、取手市こども発達センター心理指導員、取手市子育て支援課療育相談員

ワンスタッド株式会社 代表取締役 兼 株式会社リンク サポート部 部長<br>
山本誠一郎

ワンスタッド株式会社 代表取締役 兼 株式会社リンク サポート部 部長
山本誠一郎

インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。MSP(マネージド・サービス・プロバイダ)、システムインテグレーション、コンサルティングなどの経験を経て、2014年に株式会社リンクへ参画。自社サービスとなるリンク ベアメタルクラウド、サポートサービスの立ち上げに携わる。インフラや運用に関する幅広い知識と経験をもとに、自社サービスやお客さまシステムの安定稼働を支援している。

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