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ISDN(INSネット)廃止で通信はどう変わる?終了までのスケジュールと対策を解説

ISDN(INSネット)廃止で通信はどう変わる?終了までのスケジュールと対策を解説

30年以上にわたって日本国内の通信を支えてきたNTT東西のISDNサービス「INSネット」が2024年に終了します。

ISDN(INSネット)の終了は企業間の通信にさまざまな影響を与えるため、終了までのスケジュール把握や代替案の検討を含め、しっかりと計画を練っておきたいところです。

ここではISDN(INSネット)廃止までのスケジュールと具体的な対応内容を解説します。

ISDNの概要とINSネット廃止までのスケジュール

ISDNとは

ISDNは、「Integrated Services Digital Network」の頭文字をとった略称です。日本語では「サービス総合デジタル網」などと呼ばれることが多いでしょう。
ISDNは固有のサービスを表す用語ではなく、デジタル回線によるインターネット接続の国際規格です。この国際規格を利用したサービスが、NTT東西から「INSネット」として提供されています。一般的に「ISDN」と呼ぶ場合は、「INSネット」に関するサービスを指すことが多いようです。

ISDNを利用したINSネットは、長らく企業間のデータ通信に活用されてきました。ISDNには、複数の通信を一緒に行うことができ、電話・FAX・インターネットが同時に利用できるという強みがあったからです。

また、アナログ通信よりも音声品質が良く、その安定性と通信品質の高さから、光回線の登場後もEDIなど企業間のデータ通信で活用されてきました。
しかし2024年をもってISDNを利用したINSネット、具体的には「ディジタル通信モード」および「一部のサービス」が廃止されます。
終了するサービスについては下記「IP網への移行で終了するサービス」で紹介します。

ISDN(INSネットのディジタル通信モード)終了までのスケジュール

ISDN終了までの具体的なスケジュールは次のとおりです(※1)。

  • 2021年1月→IP網への接続開始
  • 2022年1月頃→切り替え後の加入電話などの料金確定、契約引継ぎ案内開始
  • 2024年1月→固定電話網をIP網へ切り替え開始、「ディジタル通信モード」および「一部のサービス」の提供終了

本稿執筆時点(2021年4月時点)において、すでにIP網への接続が開始されており、2022年1月からは切り替え後の料金や契約に関する案内が開始されます。また、2024年1月には、固定電話網がIP網へと移行するため、INSネットで提供されているサービスの一部が終了する予定です。

IP網への移行で終了するサービス

ここで注意したいのは、2024年1月にすべてのISDN関連サービスが終了するわけではないという点です。2024年のIP網移行後も、基本的な音声サービスについては継続されることが決定しています。その一方で、企業間の音声通信などに用いられてきたサービスの大半が終了します。

以下は、2024年1月のIP網への移行によって終了するサービスの一覧です(※2)。

  • INSネット(ディジタル通信モード)
  • ビル電話
  • 着信用電話
  • 支店代行電話
  • 有線放送電話接続電話
  • 短縮ダイヤル
  • キャッチホン・ディスプレイ
  • ナンバー・アナウンス
  • でんわばん
  • トーキー案内
  • 発着信専用
  • ノーリンギング通信
  • 二重番号
  • トリオホン
  • なりわけ
  • 114(話中調べ)
  • 空いたらお知らせ159
  • ナンバーお知らせ136

ISDNが廃止される理由

ISDNが廃止される理由としては、次の3つが挙げられます。

・設備の老朽化

アナログ電話網(PSTN=公衆交換電話網)の設備が老朽化し、保守が困難になるとの懸念からIP網への移行が決定されました。ちなみにアナログ電話網の交換機は2025年に寿命を迎えるとの予測が立てられています。

・IP網の普及

インターネット回線が高品質化し、IPを起点とした通信が当たり前になる中で、アナログ電話網の有用性が失われつつあります。また、安定性は高いものの通信速度が遅く高価なアナログ回線に対し、近年では光回線を中心としたより高速で安価なインターネット回線が通信の中心になったことも要因のひとつでしょう。

・固定電話回線の減少

固定電話回線は年々減少を続けています。具体的には1997年から2017年の20年間で、割合では約67%、契約数ベースでは4,228万契約の減少幅が発生しています(※3)。ちなみに、2000年から2016年にかけての固定電話の使用状況では、通信回数が約93%減、通信時間は約97%減となっているとのことです(※4)。

出典:
※1 ※2 ※3 ※4
NTT東西『固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて』

https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/pdf/20171017_01_01.pdf

ISDN(INSネット)終了後の対応策

では、ISDN(INSネット)が廃止されたあとのコールセンターなどでは、どのような対応を行うべきなのでしょうか。ここでは、「電話とFAXはISDN」「データ通信は光回線」を使用している多拠点コールセンターなどを想定して対応策を解説していきます。

ケース1:対応なし

ISDNの終了に合わせて何も対応を行わなかったとしても、業務に支障をきたすことはないでしょう。2024年1月以降も、基本的な音声サービスは継続して利用可能なためです。また、電話機やFAXなどを買い替える必要もないため、機器調達のコストも発生しません。ただし、光回線などに比べると高額なサービス利用料を支払い続けることになり、相対的にランニングコストが高いままになってしまいます。

ケース2:ひかり電話への移行

ISDNで提供されている各種サービス(音声サービス・ナンバーディスプレイ・代表番号・ダイヤルインなど)を光回線ベースのサービスへと移行する方法です。これまでとコールセンターが持つ機能と電話番号を変えることなく、ランニングコストが削減できます(ただし、移行の際、工事費用などが発生する場合があります)。

ケース3:クラウド&IP電話主体のシステムへ完全移行

コールセンターシステム全体をクラウド+IPベースの仕組みへと移行させる方法です。CTIやPBXも含めて完全にクラウド化することで、座席追加や機能追加、設定変更などが手軽に行えるようになります。
また、CRMやSFAといった外部システムとの連携も可能になり、顧客データをベースとした高品質な業務の遂行も可能になるでしょう。さらに、多拠点化や在宅勤務制と相性がよく、分散化・多拠点化を進めるうえでの強みになります。

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長期視点ではクラウド&IP電話主体がおすすめ

以上3つの対応策を俯瞰すると、どの方法を採用しても業務進行が止まってしまうことはなさそうです。

しかし、多拠点化や在宅勤務が当たり前になる中で、システムの拡張性を維持するという点ではケース3の「クラウド&IP電話主体のシステム」が有利かもしれません。
クラウド&IP電話主体のシステムであれば、必要に応じてシステムをスケールさせられるため、柔軟なコスト調整が可能です。「座席追加や拠点追加を行いつつ、冗長性や機能性も確保する」といった使い方を、低コストで実現できる方式といえるでしょう。

まとめ

ここでは、ISDN廃止までのスケジュールやその背景、対応策などについて解説してきました。

ISDN(INSネット)関連サービスの終了は、「ISDN+電話+FAX」によって構成されていたコミュニケーションシステムを見直す良い機会かもしれません。クラウド+IP電話を主体としたシステムへと移行することで、可用性とコストパフォーマンスを高めることができるからです。
ISDN廃止を機に、クラウド型のコールセンターシステムを提供するベンダーへ問い合わせを行ってみてはいかがでしょうか。