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“過度なクレーム”への対策をコンサルタントが解説 コンタクトセンターが準備すべき組織的な対応とは?

“過度なクレーム”への対策をコンサルタントが解説 コンタクトセンターが準備すべき組織的な対応とは?

 どこのコンタクトセンターの現場においても重要な業務課題となっている「クレームへの対応」。お客さまからの要望や期待に応えるためにしっかりと対応しなければならない一方、受け付けするオペレーターにとって負担になることも多く、ストレスや精神的苦痛から休職・離職につながるケースも発生しています。 特に、ヒートアップした顧客が行き過ぎた発言・態度でクレームをしてきた際の対策は、オペレーター個人だけではなく、コンタクトセンター全体として組織的に取り組む必要があります。そこで今回は、コンタクトセンターのコンサルタントである池田浩一さんに、今すぐ実施するべき「クレームのストレスからオペレーターの心身を守る方法」について教えてもらいました。

1.注意が必要な「苦情のタイプ」とは

 よく「どこからが苦情なのか?」といった苦情の定義に関する質問を受けることがあります。私は、お客さまが感情的になっているかどうかや、語気が強いかに関わらず、商品やサービスに対する不満の申し出が「苦情」だと位置付けています。
 サービスや企業側の対応の落ち度について冷静なご指摘をいただくこともある一方、時には一般常識を逸脱した言動や感情的表現でオペレーターさんへの個人攻撃に発展してしまうケースもあります。こうした過度な苦情については、組織的な対策とケアが必要になります。
 最近は「この通話は録音しています」とアナウンスが流れるようになったことで、苦情は大きく減っていました。しかしコロナ禍の影響でここ2年、苦情は全体的に平均3割程度※増えている傾向にあります。つい先日も録音した苦情の音声データを聴きましたが、オペレーターさんの苦悩が伝わり、本当に辛い気持ちになりました。
※大手ベンダーより情報提供

【対策が必要な苦情の例】
・感情のまま汚い言葉を続ける
・「謝れ」その後に「罪を認めたな」といった流れで、オペレーターを屈服させる
・「おまえは……」「お客さまに対して失礼だろう……」「言うことを聞け……」といった高圧的な表現
・「敬語が間違っている、どこの大学だ?」「バカばかり集めているのか?責任者もバカだな!」といった、個人への誹謗・中傷に発展するケース

2. 過度なクレームが発生したらどう対処する?

 残念ながらオペレーターのみなさんが、こうした行き過ぎた苦情にあわないようにする方法はありません。ですが、電話を受けて「無理だ」「このタイプは苦手だ」と感じたら、我慢をする必要はありません。以下の対応をとりましょう。

【オペレーターがとるべき、過度なクレームから心身を守る方法】
① 直ぐに手上げや、席から立つなどして合図し、周囲に「苦情 受電中」と伝える。
② マナーを大切にし、必要最低限のお詫びは行う。
③ 言い訳をしない。
④ 一応、聴き役に徹する(多くを話さない=揚げ足を取られないようにする)。
長く暴言が続く場合は、自己防衛のために丁寧に聴かないことも一つの手段。
→ヘッドセットを耳から離したり、相手のキャラクター分析を始める。
⑤ できるだけ早く上司に代わる(代わるタイミングを見つける)。

 行き過ぎた苦情への対応は、オペレーターさんだけに任せておけばいいという問題ではありません。コンタクトセンター全体で、組織としてしっかりとした対策を用意しておく必要があります。システムや発生時のルール、役職階層別の研修や勉強会など、やるべきことはたくさんありますが、特に重要なポイントをお伝えします。

【コンタクトセンター全体で実施する、過度なクレームへの対策ポイント】
① IVRに「通話は録音している」とアナウンスを入れておく。
② 音声文字化ツールを活用する。
→音声データを文字化することで、状況判断や苦情のポイント、顧客の矛盾点などをいち早く確認できる。
③ 苦情担当を配置し、オペレーターの負担を減らす。
④ 過度なクレームが発生した場合にどう対応するか、ルールをつくる。
⑤ 苦情の音声を聴いて内容や傾向を知っておき、「苦情慣れ」をして免疫を上げておく。
⑥ 電話応対の基本マナー・敬語・抑揚など基礎のスキルを上げる教育を行う。

「お客さまは神さま」という思想を変える

 会社やセンターのポリシーにもよりますが、過度なクレームを受け付けた際は、あまりお詫びしすぎないことも重要です。一般的な苦情であれば、事実確認し必要に応じてお詫びをしますが、上司がモニタリングして顧客側に行き過ぎた点があると判断した場合には、お詫びの言葉は必要最小限にします。
「申し訳ございません」を連発して話を長引びかせると、相手が徐々にエスカレートし、揚げ足とりを始めることもあります。SVなど上席者に代わっても落ち着かない方には、お詫びの言葉をあえて減らし、無言時間をやや長めにして流れを変える様にアプローチします。苦情対応をする最終責任者との勉強会や意見交換の場でも多くの方が使っている手法として挙がったので、覚えておくとよいでしょう。
 これは声を大にして言いたいのですが、「すべてのお客さまは神さまだ」という思想から抜け出してほしいと思っています。お客さま自身と会社の双方にとって利益となる問い合わせをされる方が「お客さま」です。人格否定などの暴言や一般常識を超え会社に不利益を与える方は「お客さま」ではありません。コンタクトセンター全体で、過度なクレームを含む苦情対応ルール整備と再教育や勉強会をしてほしいと思います。
 オペレータさんを守ることは言うまでもなく大切ですよね。

3. いざというときのために今から対策を!

苦情対策として教育ツールを活用

 銀行・生損保・証券・クレジットカードや、メーカー・IT・通信系など、大手企業のコンタクトセンターはすでに20年ほど前から高度な苦情対応の仕組みをつくっています。しかし、残念なことにオペレーターさんの負担が大きい中規模・小規模のコンタクトセンターほど、苦情への対策ができていないところが数多く見受けられます。
 苦情対策ができていない、またはこれから対策を考えているというコンタクトセンターで、ぜひ活用いただきたいのが、コンタクトセンター向けの人材育成クラウドサービス『BIZTEL shouinです。
 過度なクレームへの対策で最も重要なポイントは、電話対応の基本マナーと苦情対応のコツをみんなが理解し、スキルとして身に付けていることです。『BIZTEL shouin』には、クレーム対応のトレーニングとして、苦情を受ける際の心構えや適切な振る舞いについて学べる動画コンテンツが用意されています。この動画で学んだスキルをしっかりと身に付けておけば、基本的な対応ができるようになります。
 正直にお伝えすると、苦情対応は管理者・SVの経験や力量によって変わります。管理者やSVなどの二次応対者にも『BIZTEL shouin』で苦情電話対応の基本を再点検してもらいたいと思います。

「BIZTEL shouin」のコンテンツ画面。クレーム対応のコンテンツも充実しています。

好印象を与える対応が苦情を減らす

 さきほど行き過ぎた苦情にあわないようにする方法はないと言いましたが、どのコンタクトセンターにも、“この人からはクレームを受けた話をあまり聞かない”というオペレーターさんが必ずいます。この方たちに共通しているのが、明るくハキハキとした発声、いわゆる笑声(えごえ、声を聴くだけで相手が笑顔でいることが想像できるような声)ができていることです。

 気持ちの良い声で返事ができると、相手は怒っていても文句が言いづらくなるものです※。逆に、もごもごとしゃべったり、ふてくされているような声を出したりすると、どんどん怒りを助長してしまいます。『BIZTEL shouin』には「お客さまに好印象を与える発声の基本」が学べるコンテンツも用意されていますので、こちらも併せてトレーニングしてもらいたいですね。
※第一声を明るくし30%以上の応対苦情を減らすことができました(大手損保でトレーニングを実施した結果)。

池田さんによる笑声のトレーニングも用意されています。苦情によるダメージを減らすためには基本をしっかりと身に付けることが必要です。普段のトレーニングとして活用しましょう。

いますぐ苦情対策を始めよう

 これまで苦情対応によるストレスを理由に退職したオペレーターさんをたくさん見てきました。過度なクレームによる苦痛を軽減するための研修や教育があれば、この人たちを救えたのではないか。『BIZTEL shouin』の苦情対策コンテンツはそんな想いから作成したものです。オペレーターさんを守るという観点からもぜひ『BIZTEL shouin』を活用いただき、基本的なスキルを身に付けた上で、コンタクトセンターの管理者や経営も交えて、苦情対策の仕組みづくりを進めてほしいと思います。

BIZTEL shouin|クラウド型教育管理サービス | BIZTEL

BIZTEL shouin|クラウド型教育管理サービス | BIZTEL

動画研修で教育を効率化するクラウド型教育管理サービス「BIZTEL shouin」。パソコンやスマートフォンを通じて動画による研修を実現。教育状況の可視化や一元管理も可能です。教育にかかる時間と手間を圧縮しながら、教育レベルのアップも目指せる新しい教育管理システムです。

株式会社ブランニューデイ<br>
代表取締役<br>
池田 浩一

株式会社ブランニューデイ
代表取締役
池田 浩一

コンタクトセンター専門のコンサルタントとして、100社以上のセンターの立ち上げや業務改善を支援。数多くの電話応対の現場に携わった経験から「実践で役立つ」ことに重きを置いた研修を行い、好評を博している。ラジオやニュースサイトなど多数のメディアにも出演する。