苦情を生まないオペレーター育成方法(BIZTEL大学 第1回 講義レポート)
BIZTEL大学は、コンタクトセンター従事者の方へ「学びの機会」と「悩みの解決」を提供するために開校したオンラインセミナーです。累計1,500名以上の入学者へ「センター運営の持続的な成長」に役立つ情報をお伝えしています。さて、BIZTEL大学の記念すべき第1回セミナーでは、コンタクトセンター全体の生産管理、トラブル対応、オペレーター育成などのさまざまな業務を抱え、日々負担が増えている管理者へ向けたテーマを取り上げました。クレーム対応による管理者の負担を減らすための「応対苦情防止の事前準備」や「苦情多発者の改善方法」などについて、講義の一部をご紹介します。
講師
株式会社ブランニューデイ
代表取締役 池田 浩一
コンタクトセンター専門のコンサルタントとして、100社以上のセンターの立ち上げや業務改善を支援。数多くの電話応対の現場に携わった経験から「実践で役立つ」ことに重きを置いた研修を行い、好評を博している。ラジオやニュースサイトなど多数のメディアにも出演する。
ブライシス株式会社
shouin事業部 コンタクトセンターチーム 塚本 恵
コールセンターオペレーター歴16年。通販や相談窓口、IT系のカスタマーサポート業務を経験、得意技はクレーム対応。
その後、建設業界向けソフトウェアの営業チームリーダーを経て、現在は『BIZTEL shouin』の営業担当として、コールセンター業界の教育課題の解決に従事している。
教育不足によってどんなことが起きる?
苦情の種類は主に以下の3つです。
1.企業に起因するもの
2.企業と顧客の認識ギャップに起因するもの
3.顧客に起因するもの(カスハラ系)
応対苦情を作りやすい原因とは
新人オペレーターで電話応対の基本ができていない場合、解決力・好感度ともに低く、応対苦情を作りやすい傾向にあります。業務知識を増やし、電話応対のトレーニングをすることで改善する可能性はあるでしょう。
一方、オペレーター歴の長いベテランが応対苦情を作るケースもあります。知識や課題解決力を備えていてもお客さまへの配慮が足りず、好感度が低いことで苦情につながる場合もあります。この「応対好感度」は年数を重ねるほど上がりにくくなるのが問題です。
このことからもオペレーターの初期研修が非常に重要であることがいえます。
少しの気づきでなくなる!?苦情を生まない電話応対の教育方法のコツ
私自身も視聴者の皆さんも、良い指導や結果に繋がらない思い込み・勘違いをしてしまうことがあると思います。
そこで、こうした良くない思い込みに気がつけるよう、注意すべき「指導に関する課題」を5つ挙げてみました。
課題1.オペレーター指導時に多くの改善を要求している
→一度にたくさんのことを覚えるのは難しい。
課題2.オペレーターが良い応対の音声を聴いていない(良い応対がどんなものか認識していない)
→オペレーターが「あるべき姿」を理解できていない。
課題3.指導者がコーチングを学んでいても、時間不足などでティーチングになりがち
→課題の指摘だけで改善するのはほぼ不可能。
課題4.オペレーターがお客さまの音声(声の表情)に気づけていない
→お客さまが怒っている、不機嫌そうなど、声音の観察が足りていない。同じ言葉であっても、声の表情によって意味合いが異なるなどの理解が不足している。
課題5.オペレーターは管理者やQA指導者より、仲間の評価が重要であることが分かっていない
→教育指導者よりも周囲の仲間の評判の方がプレッシャーになる。同じオペレーター仲間からのアドバイスは継続効果あり。
音声の聴き比べワークを行う
基本的な流れは次の通りです。
1.指導対象のオペレーターに他者の音声を聴いてもらい「良し/悪し」を評価し、自覚してもらう
2.次に、自身の音声録音を聴いてもらう
3.「良いところ」を中心に3個以上話し合う
4.「改善ポイント」を本人から1〜2個話してもらう
5.明るくリラックスし、ほめ合いながら意見交換
6.「良いところ」はキープまたは伸ばしていき、1〜2個出した改善ポイントに取り組む約束と次回確認日を決める
<POINT>
うまくできていない内容も責めずにたくさん勇気づける
「大丈夫」「少しずつ良くしましょう」「私も最初は下手でしたよ」など
他のオペレーターの音声を聴いたうえで、指導するオペレーター本人の音声を聴いてもらい、意見交換を行いましょう。まずは良いところを見つけ、それから改善点について挙げます。意見交換の際は、オペレーター同士でほめ合うことを意識してみてください。
指導者よりも、実は「周りの圧力」の方が説得力があります。「周りの仲間に悪く思われたくない」と感じているオペレーターは多いものです。仲間に評価してもらう機会を設けると応対が良くなるケースが、過去の事例でもありました。
基本的な流れは次の通りです。
1.さまざまなタイプのお客さまの音声を聴く
2.お客さまのキャラクター(パーソナリティ)を全員で考える
3.年齢・ライフスタイル(ファッション/俳優に例える/性格/趣味など)をイメージで発表
4.音声を3本くらい聴いて発表を繰り返すと、お客さまのイメージが参加者同士で似てくる
5.最後に全員から自由な感想を聴く
コーチングを行う
コーチングと似た言葉であるティーチングは、オペレーターに「教える」ことです。それぞれの意味の違いを理解しましょう。
コーチングで意識するのは以下の3つです。
1.相手の心情を聴く
→オペレーターが「自分の話を聴いてくれている」と実感を持てるよう、「傾聴」していることを態度で示す。
2.リラックスできる環境を作る
→オペレーターがリラックスして心を開けるよう、横か斜め向かいに座るなど、座り方にも配慮が必要。
3.相手をほめる
→相手の「良い」部分は積極的にほめる。オペレーターのモチベーションがアップし、やる気を引き出せる。
定期的な音声チェックと指導を行う
継続して同じ応対をするのは難しいものです。定期的にチェックをしてアドバイスし、ほめることで、オペレーターのモチベーションアップにつながります。
参加者からの質問(一部ご紹介)
ただ、相手が受け取れるかは別として、全部を伝えなければいけないということもありますよね。上の方から、例えば「営業からもクレームが入っているから、全部伝えて」と言われたりであるとか。その場合は、ポイントをメモして伝えるなど、なんらかの形で全部を告げるケースもあります。
また、BIZTEL shouinには、音声データへ簡単にコメントが入れられる機能があるので、改善点を伝えたい時にはぜひ活用してみてください。
オペレーターの教育課題の解決に役立つ「BIZTEL shouin」とは
BIZTEL shouinとは、コンタクトセンター特化型の動画研修を中心としたクラウド型の教育管理サービスです。
動画研修
動画はパソコン・スマートフォンのいずれからも観られるため、場所や時間を選ばずに受講できます。
クイズ・検定
またオリジナルの検定を作成することも可能です。自社の運用にあわせたステップアップの道筋もつけられるでしょう。
チェックリスト
チェック内容に対してお互いにコメントのやりとりが可能なため、コーチングに近いやりとりを行えます。
教育の管理・評価
また、通話録音のモニタリングとフィードバックが効率化できる機能「音声レビュー」を搭載。音声とともにアドバイスの内容を確認できるので、振り返りが効率化でき、評価にかかる工数削減と成長記録の可視化によるモチベーションアップが実現します。
BIZTEL大学への入学をお待ちしております!
セミナーで改善手法を学び、最新ソリューションの情報を収集して、BIZTEL shouinで復習し、学んだ内容を現場で活かす。そして、また次回のセミナーに参加する。BIZTEL大学では、こうした持続的な成長サイクルをコンタクトセンターの皆さまにご用意しています。
将来的にはオフラインでの開催や、参加者同士のネットワーキングの場になるような未来を目指していく予定です。「BIZTEL大学」へ興味をお持ちの方、ぜひご参加をお待ちしております!